2014 Fiscal Year Research-status Report
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23520813
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岸本 覚 鳥取大学, 地域学部, 教授 (80324995)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 藩祖神格化 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の調査は、北海道東北、浜松周辺、鹿児島、宇和島・中津の方面への史料調査を行った。まず、今年度は、昨年度の『鹿児島県史料』の文献調査のめどをつけ、実際に鹿児島県の出水市などの島津家墓所や藩祖を祀った神社、宮之城歴史資料センター(さつま市)・吹上歴史民俗資料館(日置市)等の史料調査などを行った。薩長両藩の薩摩側は十分な調査ができていなかったこともあり、今年度ようやく本格的な調査ができたことは収穫であった。 次に、北海道大学附属図書館および北海道立文書館・函館市立中央図書館で、戊辰戦争の招魂場関連資料調査を行い、福島県歴史資料館でも戊辰戦争の墓所関係史料を調査した。戊辰戦争の招魂祭関連は、戊辰戦争戦地と江戸・京都、そして地元との三地点を調査しないとその実態を解明することはできない。その意味では非常に有益な情報を収集することができたと言える。福島では明治期の墓所保存に関わる地域史料も収拾することで、近代への見通しを得ることができた。 浜松では、大村益次郎が東京招魂社を設立する際、その神職として任命にした人物の史料調査および、井伊谷宮と龍潭寺の調査を行った。 さらに、本年度は、宇和島伊達家、中津奥平家の墓所や神社も調査し、中津市立図書館でも市関連史料を収拾した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の『鹿児島県史料』文献調査に時間をかけたため、全体として作業が後ろにずれこんでいるが、鹿児島県の調査は充実したものとなっており、決して無駄なことにはなっていない。効率的な史料調査として評価はできるが、膨大な史料群のため時間を要してしまったと言える。比較的長州藩側の調査と分析が進んでいることもあり、全体としてはバランスを保つことができたのではないかと思う。 長州藩側のキリシタンに関わる史料分析においても若干遅れが生じた。作業としては、吉田松陰の兄にあたる杉民治の関連史料(山口県文書館蔵)ものをおもに利用しはじめている。だが、招魂祭関連とあわせて調査に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、史料の最終確認作業としての鹿児島・山口調査等が必要となっている。 (1)調査先としては、岩国徴古館、山口県文書館、山口県立図書館、萩博物館などを予定しており、鹿児島県姶良市姶良歴史民俗資料館および都城歴史資料館への調査も薩摩藩の調査として予定している。 (2)全体的な整理 最終年度は、今まで調査してきた薩長両藩の資料整理を体系的に行っていくことが中心的なものとなる。キリシタンへの対抗意識とその政策を分析し、国学者・儒学者・神職・僧侶などのイデオローグの主張を整理しつつ、長州藩や薩摩藩が辿った宗教政策の特徴を明らかにしていきたい。そして、藩祖の神格化の意義をそのなかに位置づけ、それを幕末維新期全体の流れのなかで考察していく。 (3)研究成果の報告 成果報告としては、明治維新史学会例会および山口県地方史学会等での研究報告を計画中である。さらに、薩摩藩の藩祖神格化に関わる論稿を作成する準備を進めている。
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Causes of Carryover |
昨年度調査できなかった鹿児島の島津家関連のものが当該年度に調査を実施でき、若干の残額にはなったがほぼ予定通りと言える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、残額について学会報告の旅費として有効活用したい。
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Research Products
(1 results)