2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520815
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西別府 元日 広島大学, 文学研究科, 教授 (50136769)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 七道 / 王朝国家体制 / 駅家 / 宿 / 初倉駅 / 野後駅 / 初倉荘 / 東海道 |
Research Abstract |
文書・記録・編纂物という文献史学のオーソドックスな対象物から、丹念にヒト・モノの移動や中央集権的物流の具体相を反映する史料を収集するとともに、古代官道を継承する道路沿線の地域にどのような社会的変化がみられるのか、考古学的情報も集積しながら、平安時代中後期(王朝国家体制期)の交通システムを検証し、その後の交通体系への移行を展望することが本研究の目的である。そのために研究の過程を、「史料収集」「文献学的考察」「考古学的資料収集」「地域史的考察と整理・制度史的考察と整理」の各行程に区分して、年次的に研究を進めることとしているが、初年度にあたる今年度は、上記の「史料収集」段階として位置づける一方、申請時には後事次的なものとして位置づけていた「考古学的資料収集」についても、一部前倒し的に実施した。 「史料収集」段階として本年度はデスクワークを中心として、古文書は『平安遺文』(索引編をのぞく10巻)『鎌倉遺文』(索引編をのぞく35巻)、記録は、『大日本古記録』『史料纂集』『史料大成』などに載録された日記類、典籍は『国史大系』『新日本古典文学大系』などの紀行文や旅行報告、その他、基本的には翻刻史料をもちいて、必要な情報の収集につとめた。また中世の宿への移行を考えるために、榎原雅治『日本中世地域社会の構造』など関連著書や論文の収集に努め、それらの内容を整理した。 さらに「考古学的資料収集」に関しては、情報の収集につとめる一方、古代駅家段階と中世以降の「宿」的段階を対比的に検討するフィールドを設定し、その現地調査などを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎的な作業としての『平安遺文』『鎌倉遺文』にみえる文書類、『大日本古記録』『史料纂集』『史料大成』などに載録された日記類にみえる旅行・移動に関する記事、『国史大系』『新日本古典文学大系』などの紀行文や旅行報告、その他諸文献史料から必要な情報を抽出してカード化していく作業は、思いのほか、手間取ってはいるが、この部分は次年度以降も継続的に実施していく作業分野であり、調整しながら進めていける分野である。 関連する先学の研究成果の博捜・収集についても、『交通史研究』など所属機関に架蔵されていない基本文献を購入してその調査をおこなった。また、その他の文献目録などをもとに関連論文を博捜したが、中世後期以降については一定度研究成果の蓄積があることを確認できたが、研究課題と直接つながる中世初期については、いまだ十分な研究がおこなわれていないことが明らかになった。それゆえに、研究課題の遂行の必要性を痛感したが、歴史的展望という面であらたな吟味の必要性をかんじている。 「考古学的資料収集」の部分については、具体的に駅家から「宿」へ展開していく地域を抽出するために、東海道・東山道・山陽道などの具体的経路について各県の「歴史の道」調査報告書などを参考に、その候補地をえらびだし、若干のフィールド調査を実施したが中世部分の歴史情報が欠落している地域が多く、直接的に移行した可能性は少ないことが確認できたが、具体的な成果をあげるにいたっていない。ただしこの点は、次年度以降に計画している各地の埋蔵文化財に関する情報収集をふまえて再検討したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の「史料収集」の行程を継続・推進するとともに、史料と先行研究・関連論文などを検討し、その過程で確認できた歴史事象や明らかになった諸問題を順次成稿化していく「文献学的考察」の行程にはいるとともに、『文化財発掘出土情報 歴史・考古学の情報』(旧:『月刊文化財発掘出土情報』)のほか考古学系の学会誌などを博捜して10~13世紀にかかる遺跡・遺物の情報を収集するとともに、兵庫県域などのの古代駅家関連遺跡の発掘調査報告書を再読し、駅家停廃以後の当該地域の情報を収集する「考古学的資料収集」の行程作業を今年度後半からより具体的に地域を設定して展開したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は「史料収集」の行程で生じるさまざまな情報のデーター化を進めるつもりである。そのために情報処理のためのコンテンツを整備するとともに、その作業などについて研究補助を依頼したい。 また具体的に、歴史的な比較の対象となってくる地域について、埋蔵文化財的情報を収集・整理するためのコンテンツと研究補助を確保するとともに、その地域について事前調査的作業を実施したい。
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Research Products
(1 results)