2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520830
|
Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
千々和 到 國學院大學, 文学部, 教授 (10013286)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢部 健太郎 國學院大學, 文学部, 准教授 (20459001)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 日本史 / 起請文 / 牛玉宝印 / 思想史 / 中世史 / 近世史 |
Research Abstract |
1 本年度は、宮城県仙台市の仙台市博物館と宮崎県延岡市の今宮八幡宮等を現地調査するとともに、これまでに刊行された史料集等と、東京大学史料編纂所に架蔵されている写真帳等の総めくりによる起請文の検出作業を進めた。2 中世・近世の起請文が多数存在しながら、そうした分野での研究が十分に行われていたとは言えない状況だった伊達家文書は、本プロジェクトにとっては、第一に調査をしたい対象であった。だがその大半が、大震災被災地の史料レスキューの中核を担う仙台市博物館に所蔵されているため、調査の申し出を遠慮していたが、幸い3月に調査を快諾してもらえたので、集中的に中世と近世の起請文を調査した。以前の別プロジェクトの調査史料等を活用し、あと数回で調査を完了できると考えるが、今回は、牛玉宝印を用いない起請文原本の存在を確認できたことなどが重要な発見であった。3 明治大学に所蔵されている延岡藩内藤家文書の起請文は、研究協力者の大河内千恵が以前から調査を続けていたものだが、本プロジェクトの調査対象としてもあらためて調査を位置付けることとし、他では見られない牛玉宝印の存在に注目して、その発行寺社を確認するため、延岡の寺社を調査した。確定にはいたらず、今後神仏分離直前の寺社の状況を検討することが重要であることを確認した。4 既刊行史料集等の総めくりと、東京大学史料編纂所に架蔵されている写真帳等からの起請文の検出は、着実に進んでいる。この作業によって新たに確認された起請文の新史料については、次年度以降、調査対象として原本調査を行うことが重要であると考えられ、現在、次の調査対象に加えるべき所を検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究費配分の決定が予想していたよりかなり遅れ、また、使用できる研究費の総額がなかなかわからなかったことなどがあり、組織の立ち上げと調査対象の選定に時間がかかってしまった。とはいえ、最初に調査対象に選んだ伊達家文書は、かつて研究代表者が調査をしたときとは状況が大きく異なり、所蔵する仙台市博物館の公刊された所蔵目録の充実があり、またきわめて好意的に調査にご協力いただけたこともあり、ほぼ当初の目的を達成することができた。また、刊本等の総めくり作業も、順調である。それらを総合的に判断し、(2)おおむね順調に進展している、を選択した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1 すでに研究グループのHPの更新を行い、6月中には年度最初の全体打合会を開催する予定である。2 9月をメドに、ニューズレター(『護符起請文研究』)の1冊目を刊行して、調査・研究の概要を広報するとともに、今年度の調査対象先との折衝を行う。調査対象としては、引き続いて仙台市博物館の調査を行うとともに、四国・中国地方、九州の調査を予定している。調査は、おおむね3名程度での実施を考えている。3 3月をメドに、ニューズレターの2冊目を刊行する予定である。4 研究の実施にあたっては、全体打合会を3回開催するとともに、そのうち2回は、公開研究会を同時にセットしたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主要な使途は、平成23年度と同様、調査旅費と謝金とその他(サーバー賃借料及びニューズレターの発行費等)である。今年度は、謝金はほぼ前年度並みと考えているが、調査旅費は、調査対象を増やす関係上、2倍~3倍程度に増加すると考えている。
|