2012 Fiscal Year Research-status Report
『新撰年中行事』の基礎的研究―東アジアにおける年中行事・歳時記の受容と変容―
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23520844
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
西本 昌弘 関西大学, 文学部, 教授 (00192691)
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Keywords | 年中行事書 / 新撰年中行事 / 小野宮年中行事 / 歳時記 / 新史料 |
Research Abstract |
平成24年度は、東山御文庫本『新撰年中行事』所載の行事項目と東山御文庫本『小野宮年中行事』所載の行事項目を比較するために、マイクロソフトエクセルを用いて対照一覧表を作成することとし、研究協力者に依頼して、翻刻作業と入力作業を開始した。両書は類似した行事項目をもつが、その相違点も大きく、その相互関係を細かく考究する必要がある。 本年度も宮内庁書陵部・国立公文書館・国立国会図書館などに出張し、日本古代の年中行事書を中心とする写本類の調査を進めた。出張調査の結果、参照すべき必要性を感じた写本類は、これを紙焼写真の形で購入し、その内容に関する読解を順次進めた。11月には、京都御所東山御文庫に出張して写本調査を行い、未知の年中行事書や古典籍が存在しないかどうかを検討した。 一方で、『新撰年中行事』が引用する新史料をも活用して、奈良時代末期から平安時代初期にいたる通史を叙述し、『桓武天皇』(日本史リブレット人、山川出版社、2013年1月刊)を刊行した。また、古代都城における神社・寺院・天の祀りなどの位置づけを分析して、亀卜を中心とする年中行事である神今食の展開過程や、都城の南郊に天を祀る郊祀の成立過程を調査し、このことを考察した研究論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『新撰年中行事』と『小野宮年中行事』の行事項目を比較検討する作業は、今年度は順調に進展している。テキストを確定するための作業を慎重に行った結果、東山御文庫本のほかに、宮内庁書陵部書陵部所蔵の鷹司本や葉室本が善本であることが判明してきたので、今後はこれらを重視して調査を進めてゆきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、研究協力者に依頼して、『新撰年中行事』と『小野宮年中行事』の行事項目対照表を完成させるようにする。この一覧表を利用して、両書の共通点と相違点を見極め、両書の性格と編纂意図を明らかにするよう試みたい。また、中国や朝鮮における歳時記研究の成果を取り入れ、『新撰年中行事』などにみえる行事の背景を、東アジア的な広がりのなかで捉える努力を行ってゆきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(3 results)