2011 Fiscal Year Research-status Report
現代中国の民族識別期における旗人の動向に関する研究
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23520870
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
ボルジギン ブレンサイン 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (00433235)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 現代中国 / 民族識別 / 旗人 |
Research Abstract |
本研究は、現代中国の国家の基本構造を形成している56の民族の枠組みが確定される1950年代において、中国領内に暮らす各民族集団が如何に整理、認定されていったかを、旗人諸集団の動向を把握することによって分析するものである。その目的は、清朝という一つの帝国の解体から中華人民共和国というもう一つの多民族国家の組み立て過程において、民族集団は如何に融合集散を繰り返してきたかを明確にすると同時に、民族とは如何につくられていくものなのか、そして国家によって人為的につくられた民族という枠組みに生きる人々の集団的所属意識が如何なる状態であるのかを解明することを目指す。初年度にあたる平成23年度は日本国内で基本的な資料調査を行ったうえで、中国で現地調査を行った。8月には内モンゴル自治区のフルンボイル地区においてモンゴル、ダグール、エベンキ(ソロン)、オルチョン、バルガ、ブリヤードなどかつての八旗の子孫に対する現地調査を行った。続いて2012年2月には内モンゴル自治区のフフホト市を中心に山西省の右玉地域も含めてかつての駐防八旗の子孫に対する調査を行った。これらの調査を通して、1950年代において八旗の子孫が如何にそれぞれの民族の枠組みを見つけ、そしてそこに自らのアイデンデイティを求めてきたかを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基盤研究C「現代中国の民族識別期における旗人の動向に関する研究」は、代表者が今まで行ってきた清朝の崩壊に伴う支配階級であった旗人の行方を探ってきた一連の研究の延長線上にあるもので、23年度の研究計画で提示した海外調査地の多くも従来の研究調査で訪れたことのあるところである。それにより、これらの地域の郷土史研究家を中心に人脈をつくってあるところも多く、現地調査はスムーズに行われている。それに、ここ数年研究対象地域における地方史料や基礎資料の整理出版も盛んにおこなわれており、このテーマに関する研究を進めるには資史料の面で今まで以上に期待できるようになっている。また前述したように、今回の研究テーマは今まで進めてきた研究の延長線上にあるため、今までの蓄積の上で分析も予定通り進んでいる。平成23年度は吉林省など中国東北部の一部の地域に調査できず、フフホトや山西省などの一部の地域で複数回調査を実施するなど現地調査の偏りがみられるので、24年度に調整していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては、まず23年度に実施できなかった現地調査を実施したい。そのうえに24年度の調査対象地域として上海など中国南部における八旗駐防地を訪ねたい。また内モンゴル地域でも更なる調査を行い、1950年代に中国領モンゴル族が認定される際の各種の情況を調査したい。そしてモンゴル国においても現地調査を実施し、清末の混乱期において清朝の影響がいかにしてモンゴル国からなくなっていくのかを調べたい。また24年度はこの研究課題の中間の成果発表のために公開ワークショップを開催するように企画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は文献調査・現地調査には当初80万円予定していたが、調査予定は進んでいるため、半分程度に度減らし、その分公開ワークショップ開催に対して50万円支出したい。残りの30万円は物品購入と謝金などその他の支出にあてたい。
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Research Products
(10 results)