2012 Fiscal Year Research-status Report
戦時期上海の経済社会の変容と中支那振興株式会社に関する歴史的研究
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23520878
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高綱 博文 日本大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90154799)
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Keywords | 中支那振興株式会社 / 戦時上海 |
Research Abstract |
本研究は、戦時(1937~45年)上海の経済・社会の変容と日本の国策会社・中支那振興株式会社との関連性を歴史的に検証することを目的とする。即ち、日本政府により華中地域の占領地「開発」と目的に、1938(昭和13年)11月に設立された国策会社・中支那振興株式会社の華中地域の経済・社会に与えた影響を日中双方の史料に基づき総合的に検証し、歴史的に考察することを目的とするものである。 平成23年度の研究成果として、拙稿「戦時上海の経済・社会変容と中支那振興株式会社に関する基礎的研究」(日本大学通信教育部『研究紀要』第25号、平成24年3月)を発表した。同稿は、本研究の基礎的な作業報告であり、中支那振興株式会社に関して、その研究目的・計画・特色を明らかにして、戦時上海の時期区分と中支那振興株式会社の概要を略述した。更に中支那振興株式会社の関する史料調査報告を添付したものである。 平成24年度の研究成果として、拙稿「中支那振興株式会社一関係会社の実相」(日本大学通信教育部『研究紀要』第26号、平成25年3月)を発表した。同稿は、中支那振興株式会社の歴史的な実相を捉えるために、同会社が投資・融資していた関係会社の一つである華中蚕糸株式会社の社史『華中蚕糸有限公司史』(1944年)を検証することによって日本軍占領地における中支那振興株式会社の一子会社による「復興および開発」の実態を明らかにし、それを経済的に支援したところの中支那振興株式会社の歴史的な役割を再検討したものである。 本年度も中支那振興株式会社の<基礎研究>を主要な課題としており、同会社の史料調査を日本大学派遣の在外研究期間(平成25年1月~3月)に上海の図書館・档案館、浙江図書館等で実施し多くの史料を蒐集した。今後とも中支那振興株式会社の史料調査・蒐集と共に同会社の組織・活動実態についても分析を進めている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、中支那振興株式会社に関す史料調査・蒐集し「関係文献目録」を作成して中支那振興株式会社の概要を明らかにし、その上で同会社の実態分析と戦時上海の経済・社会の変容との関連性を明らかにする。<基礎研究>と<歴史研究>の2段階において研究成果をあげることを計画している。現在、計画通り下記の<基礎研究>を実施している。 <基礎研究> (1) 中支那振興株式会社に関する史料調査・蒐集を国内外で行い、「中支那振興株式会社関係文献目録」を作成する。現況は国内外の史料調査は順調に進展しており、その成果の一部は上記の拙稿「戦時上海の経済・社会変容と中支那振興株式会社に関する基礎的研究」に発表した。 (2)中支那振興株式会社に関する史料分析を行い、その設立の経緯、組織、活動などを実証的に検証し、同会社の実態概要を明らかにする。現況は同会社が投資・融資していた関係会社からアプローチする方法を採用し、華中蚕糸株式会社の社史『華中蚕糸有限公司史』(1944年)を検証して、中支那振興株式会社の一子会社による「復興および開発」の実態の一部を明らかにした上記の拙稿「中支那振興株式会社一関係会社の実相」を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
当面は中支那振興株式会社の<基礎研究>に重点を置きながら、下記のような<歴史研究>を進めて行く計画である。 <歴史研究> (1)中支那振興株式会社は華中地域における交通、通信、電力、鉱業、水産などを網羅する14企業を傘下に置いたが、その中から華中鉱業株式会社・華中水電株式会社などの会社を選び出し具体的な事例分析を行う。その際、「概ネ支那側ヨリ既存施設ヲ現物出資セシメ之二日本側ノ資本及技術ヲ注入シ、夫々、日支合弁経営ノ会社経営二委ヌルコトトセリ」(『中支那振興株式会社事業内容概説』1938年)とされるが、その実態を日中双方の史料を比較検討し明らかにすることを試みる。 (2)中支那振興株式会社の設立とその支援を受けた日本の民間企業が大挙して中国進出したことは、上海の日本人コミュニティのあり方を質量とも変化させるものであったと想定されるが、そのことを『大陸新報』『申報』などの新聞史料を中心として検証する。 (3)戦時上海の経済・社会変容に中支那振興株式会社が果たした「破壊と建設」の役割を、日中双方の史料に基づき総合的に検証して、歴史的に考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は体調不良のために、平成24年度は日本大学派遣の在外研究のために研究費の使用は計画通り進展していないが、上記の通り研究の進捗状況は順調である。 平成25年度においては研究費を上海及び南京・無錫における史料調査・蒐集・使用し、またすでに蒐集したマイクロフィルム史料のデジタルデータ化、中支那振興株式会社の実態分析するための関係史料の購入、本研究の報告書の作成等に当てる計画である。
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Research Products
(1 results)