2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520906
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
佐々木 真 駒澤大学, 文学部, 准教授 (70265966)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 西洋史 / 西洋近現代史 / 軍隊 / 軍事史 / 戦争 / 絶対王政 / 国制 |
Research Abstract |
平成23年度は、7月26日から8月31日にかけて、フランス共和国パリ市に出張し、史料調査を実施した。調査を実施した機関と調査内容は以下の通りである。フランス国立図書館:刊行図書を収蔵するミッテラン館で絶対王政期の作戦指導に関する書籍を調査した。その結果、必要と判断されるものについては、その場でのメモや複写の実施、現物の購入手続などを行った。また、リシュリュー館の西洋手稿史料部では、軍人や貴族が残した文書の収蔵状況を調査した。フランス国立古文書館:対象時期の財務総監関連文書をおもに調査し、必要なものについては、デジタルカメラで撮影して収集した。 日本国内では上智大学等の大学図書館で所蔵されている関係図書の内容を確認するとともに、フランスでの調査を踏まえて購入した書籍の内容を検討し、研究状況を把握した。 今年度は現存する史料やこれまでの研究状況を確認することができ、研究をうまく開始することができた。とりわけ、国立古文書館の公文書に対して、貴族などの私文書を所蔵する国立図書館手稿史料部所蔵の史料は、分類が複雑であり、関連史料の所在を把握するのがなかなか難しいのだが、今回、それなりの時間をかけて調査を行ったことにより、今後の研究に使用できるものを把握できたことは大きな成果であった。また、筆者と同じような問題関心で戦争指導の問題を扱った研究や、フランス防衛省の戦史研究機関が刊行している論文集など、最新の研究や日本では調査しづらい文献を、実物により確認できたことも非常に有意義であった。本年度の調査により、史料の残存状況や最新の研究状況を把握できたことは、本研究の立ち位置を定めるにあたって、非常に役立つであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のとおり、史料状況や研究状況の把握は予定通りに進んでいる。今後の研究の方向性や具体的な研究内容への問題点も特に認められず、その意味では研究は順調に進展している。ただし、昨年のパリ市への出張では、国立図書館の手稿史料部での調査に予想以上の時間がかかっかことと、夏の休館期間との関係で、防衛省戦史室で直接史料を見て調査をすることができなかった。史料の内容は国立古文書館に所蔵されている、防衛省戦史室所蔵史料目録では確認しており、防衛省戦史室での作業はマイクロフィルムの複写を請求することが主なので、本研究に不可欠な部分については、平成24年度の夏の調査を待たずに、マイクロフィルムの複写を請求する予定である。 また、早稲田大学で『ガゼット』を閲覧することも昨年度はできなかったので、この部分も平成23年度の計画で実現できなかった部分である。 だが、いずれも挽回可能な軽微な遅れであり、研究の目的はおおむね順調に達成されているといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度も夏期に1ヶ月ほどフランスに出張し、昨年所在を確認した国立図書館手稿部の史料を中心に史料収集を実施する。そのほかの史料所蔵機関(国立古文書館、防衛省戦史室)も必要に応じて訪問する。実際に戦争が行われた地域の地方文書館については、リール市(ノール県文書館)を短期間訪問し、史料の残存状況を調査する。 また、2013年3月に本研究の時期を中心とした軍事史の国際学会が、ポツダム大学(ドイツ連邦共和国)で開催されるので、それに出席し、同様の研究を実施している研究者と意見交換をする予定である。 防衛省戦史室所蔵史料については、なるべく早くマイクロフィルムを発注する。海外調査以外では、『ガゼット』などの国内の史料の収集を行うとともに、収集した史料の分析を実施し、研究成果の発表の準備を整えていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は19万円余を次年度に繰り越したが、これは前述の防衛省戦史室に依頼する予定であったマイクロフィルム複写費であり、平成24年度に執行する予定である。平成24年度の本来の研究費(直接経費120万円)については、約80万円をフランスでの史料調査とドイツでの学会への出席に充当する。残額については、とともに、必要な書籍や機器の購入代金、複写経費に充当する予定である。
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