2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23520906
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
佐々木 真 駒澤大学, 文学部, 准教授 (70265966)
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Keywords | 西洋史 / 西洋近現代史 / 軍隊 / 軍事史 / 戦争 / 絶対王政 / 国制 / フランス |
Research Abstract |
平成24年度は、7月26日から9月3日にかけて、フランス共和国パリ市に出張し、史料調査を実施した。調査を実施した機関と調査内容は以下の通りである。 刊行図書を収蔵するフランス国立図書館ミッテラン館では、前年度に引き続き、絶対王政期の作戦指導に関する書籍を調査した。同リシュリュー館の西洋手稿史料部では、昨年の調査にもとづき、軍人や貴族が残した文書の内容を具体的に調べ、一部を収集した。フランス国立古文書館では、昨年収集できなかったものを収集した。また、8月初旬にリール市に赴き、ノール県文書館所蔵史料の調査を行った。日本国内では早稲田大学で『ガゼット』の記事を調査・収集した。また、フランスでの調査を踏まえて購入した書籍の内容を検討し、研究状況を把握した。上記の活動により、ある程度の関連史料を収集することができたとともに、王権による戦争指導の実態を解明するという、本研究の目的を達成するために必要な素材を集める見込みが立った。 平成25年1月12日には、関西フランス史研究会(於京都大学)でルイ14世治世下のメダルに関する報告を行った。報告の主題は本研究の内容から若干それるが、報告に関連するかたちで、質疑応答のなかで、専門のフランス史研究者と本研究に関する意見交換を行うことができ、知見を得ることができた。また、平成25年3月2日には早稲田大学高等研究所主催のシンポジウム、「近世国家における武威の表象」で報告を行った。さらに、平成25年3月13日から15日にかけてポツダム大学で開催された軍事史の国際学会に参加し、各国の研究者達と意見を交換した。以上のように、本年度は、昨年からの史料収集に加え、さまざまな研究者との意見交換を行うことができ、研究の方向性をより明確にすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
史料収集の点でやや遅れが見られる。特に問題なのが、フランス国立図書館の西洋手稿史料部に所蔵されている史料で、昨年同様に調査がやや難航している。ここの史料は目録の整備が進んでおらず、また、貴族に関連する文書の全体像がわかりにくく、請求した史料で本研究の対象であるスペイン継承戦争期の戦争行動にかんするものを探査・収集することに予想以上の手間がかかっている。また、ここでの調査の遅れのためや、夏の休館期間との関係で、防衛省戦史室で直接史料を見て調査をすることができなかった。さらに、夏に所蔵状況を調査したノール県文書館では、史料の残存状況が良くなく、思ったような史料収集はできなかったので、地方文書館所蔵史料を利用する場合には、新たな地域を探す必要がある。ただ、予想していたような史料が存在しないなどの、致命的な問題は発生していないので、次年度の努力により、当初の予定どおりに史料収集を行うことは可能であると考えている。 これに対して、二次文献の収集や分析は順調に進んでおり、当該時期の戦争指導についての、全般的な状況や、戦争に参加した貴族と王権との関係の解明はおおむねなされている。さらに、本年1月や3月の発表時やポツダムの国際学会でなされた意見交換により、本研究の方向性やその意義については、特に問題があるわけではないことが確認されている。この点からも、素材(史料)の収集が進めば、研究を当初の予定通りに終了させることは可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
史料収集が若干遅れているので、平成25年度も夏期に1ヶ月ほどフランスに出張し、国立図書館西洋手稿部の史料と防衛省戦史室の史料を中心に史料収集を実施する。パリの国立古文書館も必要に応じて訪問する。地方文書館については、アミアンの県文書館の調査を考えているが、これについては、パリでの史料収集状況により、調査の有無を決定する。 この調査と並行して、軍隊と社会の歴史研究会やフランス史研究会など、専門研究者により構成されている研究会での報告を行い、研究内容について専門家の批判を受ける。口頭での発表と並行して、研究内容の活字化を進めていくが、とりあえず本年度は、現在収集した史料・文献で対応が可能な、戦争指導の全体像を対象とし、個別事例については、本年の史料収集が終了した時点で論文として発表していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)