2012 Fiscal Year Research-status Report
日系人収容所における「敵性文化」の統制 日本語の使用・宗教活動・学校教育を中心に
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23520909
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
水野 剛也 東洋大学, 社会学部, 准教授 (90348201)
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Keywords | 日系アメリカ人 / 日系人強制立ち退き・収容政策 / 第2次世界大戦 / 日本語 / 敵性文化 / 文化統制 / 言論・表現の自由 / 市民的自由 |
Research Abstract |
真珠湾攻撃(1941年12月)から約半年後、アメリカ連邦政府は西海岸に住む日系アメリカ人(日本人移民とその子孫、以下、日系人)を強制的に立ち退かせたが、彼らを隔離した収容施設内で日本を象徴する「敵性文化」をどのように統制、あるいは許容したのか? 本研究の目的は、とくに最初期の「仮収容所」(assembly center)に限定し、かつ「日本語の使用」、「宗教活動(仏教・神道など)」、「学校教育」の3点に焦点をしぼり、つとめて実証的な方法で上の問題を解明することである。 上述の研究目的に照らして、2年目となる今年度も十分な成果(あるいは、近い将来に成果として結実する可能性のある活動)をあげることができた。 まず、2012年8月にアメリカのシカゴで開催された学会で、単著の論文を発表することができた。厳正な審査を通過し、かつ高い評価を得ることができた。 上述の学会に参加する前には、同じくアメリカのミネソタ州ミネアポリスにあるミネソタ州立大学を訪れ史料を収集してきた。この大学には、アメリカへの移民に関する膨大な文書コレクションが所蔵されている こうした研究活動、およびこれまでの活動の成果として、2本の論文を学会誌に投稿し、いずれも審査をパスして2013年度に出版予定である 日本国内では、投稿論文を1本掲載することができた。「日系アメリカ人戦時集合所における郵便検閲 『日本語紙の購読』『私信』『外部メディアへの寄稿・投稿』の統制を中心に」というタイトルの論文で、『メディア史研究』(第32号、2012年9月)に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、初年度からひきつづき今年度も重要な史料を入手することができ、かつこれまで収集した一次史料や文献を駆使した投稿論文を日本語で1本、英語で2本、完成させることができたからである。それらに加え、英語による書評、英語による百科事典への寄稿、日本語による百科事典への寄稿、などの成果をうみだすこともでき、執筆途中の書籍も含め、当初計画していた以上に研究はスムーズにすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のとおり、現在のところ、当初計画した以上の成果をあげているので、それに満足・油断することなく、3年目以降も継続的に史料収集にはげみ、かつ論文執筆をさらに進展させるよう努力するつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
定期的に国内外の研究機関等へ出張し、史料渉猟、あるいは学会に参加することで、当初計画したとおりの目的に沿って研究費を適正に使用していく計画である。論文執筆がすすめば、それだけ発表の機会も多くなるので、それに史料収集の出張をあわせたりすることで、効率的な使用をこころがけるつもりである。 繰越額が生じた理由は、2012年8月に行った史料収集と学会発表を1度の出張で済ませることができたためである。その分、次年度以降は余裕をもったアメリカ出張ができると思う。
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Research Products
(6 results)