2013 Fiscal Year Annual Research Report
民族誌を用いた土器型式の動態把握のための理論的研究
Project/Area Number |
23520935
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 龍三郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80163301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中門 亮太 早稲田大学, 付置研究所, 助手 (60612033)
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Keywords | 土器型式 / 民族誌 / パプアニューギニア / イーストケープ / 縄文 / 家庭的土器生産 / トパ |
Research Abstract |
2013年8月31日~9月13日までの2週間を利用して、パプアニューギニアのイーストケープおよびワリ島において、家庭的土器生産に関する民族誌調査を実施した。このうちワリ島では集落の構成を、クランのまとまりから把握するためにGPSによって地理的位置を記録した。また各クランの土器製作者の自宅を訪ねて、製作者の家系図や製作に関する情報を収集した。製作する土器に関して、文様の呼称法等を細かく聞き取り、実測図の作成と写真撮影、製作者のインタビューを実施した。またイーストケープや周辺島嶼との交流について、クラ交易の最近の情勢や親族の移動などについて聞き取り調査を実施した。 イーストケープでは、トパ・ミッションで最後まで残っていたバクマニ村のクラン配置と各家屋の位置についてGPS測定を実施し、約100戸の家屋を測定した、またバクマニの4つのサブクランについて聞き取り調査を実施し、家庭的土器生産に従事する女性たちから聞き取り調査を実施した。その結果、数名の土器製作者の家系図や、技術的系譜を物語るデータを収集することができた。バクマニの調査を完了することで、約10年間にわたって継続したケヒララ・ミッションとトパ・ミッションのすべての集落と家屋をGPSで記録することができた。このデータは、この研究・分析のすべての基礎的データとなるものである。 本研究は、土器型式がどのような形で地理的分布を形成するのか、また土器型式がなぜ変革するのかについて調査研究することが主眼なので、トパ・ミッションのカピカピア村在住のデロガニ女史(80歳近くの老女)に聞き取り調査を行い、なぜ彼女が他の土器製作者たちから「第一人者」として一目置かれるのかについて調査し、単に製作技術だけでなく、彼女の持つ社会的権威としての「世界観」が重要であることが判明した。
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