2013 Fiscal Year Research-status Report
家形埴輪の群構成と階層性からみた東アジアにおける古墳葬送儀礼に関する基礎的研究
Project/Area Number |
23520943
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Research Institution | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
Principal Investigator |
古谷 毅 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, その他部局等, その他 (40238697)
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Keywords | 考古学 / 古墳時代 / 前方後円墳 / 家形埴輪 / 埴輪生産 / 葬送儀礼 / 家形土器 / 韓国 |
Research Abstract |
日本列島の古代国家形成期に該当する古墳時代には、前方後円墳を中心とした古墳で執り行われた葬送儀礼が日本列島内の政治的秩序や各地域社会の安定に重要な役割を果たしたと考えられている。本研究では、器財埴輪で最初に出現し前方後円墳の終焉まで一貫して製作され古墳に樹立された家形埴輪の群構成と階層性の分析を通じて、古墳時代の葬送儀礼の復元と歴史的意義を検討する。 とくに、東アジア農耕社会における国家成立段階の集落建築や家形造形品との比較・検討から、家形埴輪群の実体と配置に関する復元的分析からその実態と特質を明らかにし、古墳時代社会の安定と成長に大きな役割を果たした古墳葬送儀礼と、その背景にある古墳時代の他界観(世界観)を解明するための基礎研究の確立を目的とする。 本年度は、連携研究者と日本古代史研究者を含む研究協力者と共に、平成25年5月、同 26年2月に、東京都・大阪府にて研究会を開催し、これまでの調査成果の確認と問題点を検討・分析した。また、平成25年6月に、韓国で家形埴輪の研究成果を公開し、その歴史的意義について韓国出土の家形土器と比較・検討し討論を行なった。このほか、科学研究費補助金C・B(2000~2002・2005~2007年度)の研究成果を含む、総合的研究報告書の内容・構成と体裁、及び作成スケジュールの検討・打合を進めた。 資料調査としては、近畿地方の主要古墳出土資料(大阪府)を重点的に進めたほか、韓国出土家形土器の調査を実施した。既存調査資料の整理に関しては、写真・データ等の整理・分析を行い、これまでの調査成果で収集した撮影画像のデジタル化を進めた。なお、東京国立博物館所蔵埴輪資料の調査準備に関しては、館内における存在確認事業等の影響で今年度も実施に至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来交付された科学研究費補助金C・B(2000~2002・2005~2007年度)による調査・研究成果を継承し、連携研究者および各地の研究協力者と共に研究会を組織して随時開催し、各地の主要古墳出土埴輪群の分析結果を検討した。近畿・中国・関東地方等の主要古墳出土資料を重点的に補足調査を実施し、発掘調査によって家形埴輪を含む埴輪配列が確認された良好な家形埴輪資料を再度精査して、埴輪樹立時の群構成と配置・階層性を復元する基礎資料を整備した。これにより従来、円筒埴輪中心であった埴輪研究の調査事例を質・量ともに上廻ることができ、本研究テーマの資料的基盤を構築することができた。 また、連携研究者と共に日本古代史研究者を含む多数の研究協力者を得て、研究視角の面でも古墳時代・古代史研究における応用性などに一定の成果がある一方、既存写真資料のデジタル化などの資料整備を行うことができた。 ただし、調査日数に関しては館内事情等でやや十分であり、研究会日数の最低限の研究会を開催した。一方、東京国立博物館所蔵資料の調査、および既存資料の整備・論文等公開件数は、公開性に鑑みてもさらに努力が求められると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の既存研究との継続性は十分で変更の必要は認められないと考えられるが、達成度については補足調査と調査精度の向上をさらに高める必要がある。繰越の承認を得たことによって、より研究予算運用の効率性・適時性を高め、研究会はさらに研究・分析視角に関する発展性・独創性の拡充・確立を図り、最終年度として研究成果報告書をまとめ刊行したい。 平成23~25年度調査の資料整理・分析を積極的に進めて、東京国立博物館所蔵資料の調査)と整理・分析も、具体的な実施計画を策定し、早期に人的配置や調査環境を計画的に準備して資料化と公開準備を目指す。公開性については、調査・研究成果を論文・学会報告等を通じて広く学術情報の発信を図ることで、より高度な発展性・独創性の確立を目標とする。 一方、研究会は従来交付された科学研究費補助金C・B(2000~2002・2005~2007年度)による調査・研究成果を継承し、平成23~25年度と同様、連携研究者・研究協力者とともに数回の開催を計画し、調査成果の共有と研究成果の分析および研究視角に関する検証や調査成果に関する分析の発展を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度(平成23年度)は東日本大震災の影響で、交付および調査・研究会計画が著しく遅れをきたし執行が滞った結果、計画全体に遅れが生じた。そこで、昨年度(平成24年度)末に繰越の認可を受け、計画を再検討し鋭意回復を目指したが、平成24年度計画であった韓国調査・共同研究会が本年度(平成25年度)にずれ込んで実施に至るなど、平成23年度分の遅れ全体を回復することはできなかった。 以上の状況から、今年度は研究会が下半期にずれ込み、刊行予定であった研究成果報告書の編集が終了せず、印刷・刊行等予算の執行が困難に状況となり、再度繰越申請を行った結果、承認・許可を頂いたため。 当初、平成25年度計画であった研究会・調査と、研究成果報告書の編集作業を計画・実施する予定である。 このため、研究会・調査実施運営費(諸経費・旅費)に約20万円、研究成果報告書編集・刊行費(諸経費・印刷費)に約60万円を支出する予定である。
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Research Products
(10 results)