2011 Fiscal Year Research-status Report
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23520944
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
岡田 憲一 奈良県立橿原考古学研究所, 調査課, 主任研究員 (20372170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大藪 由美子 奈良県立橿原考古学研究所, 企画課, 研究員 (20566955)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 考古学 / 人類学 / 先史学 / 縄文時代 / 埋葬遺構 |
Research Abstract |
本研究は、縄文時代の埋葬遺構ならびに遺物、人骨資料について、考古学的かつ人類学的観点から集成、実査、分析をおこなうことにより、これまで「影響」や「移動」によるものと考古学的に解釈されてきた縄文社会転換期の実態について、人類学的視点を踏まえて究明しようとするものである。 平成23年度は、考古学的研究として、西日本における縄文人骨共伴縄文土器の観察、人類学的研究として、西日本における縄文人骨の肉眼解剖学的観察および計測値等のデータ収集を計画し、日下遺跡、国府遺跡、森の宮貝塚、滋賀里遺跡、鳴神貝塚等の近畿地方の人骨埋葬遺跡を対象としてあげた。実施し得た調査研究は下記の通りである。 考古学的研究としては、観音寺本馬遺跡および滋賀里遺跡出土土器の検討をおこなった。ともに縄文時代晩期の多くの人骨埋葬遺構の検出された遺跡で、当該期の近畿地方の埋葬形態を考察する上での基準資料とみなせる。今年度は埋設土器の型式比定を実施することによって、埋葬遺構の盛興期を把握し、次年度に実施予定の埋葬遺構内および包含層出土土器の実査にそなえ、既存データの整理をおこなった。また、日下遺跡、森の宮貝塚、鳴神貝塚についても、報告書データの整理、検討をおこない、実査にあたっての課題を抽出した。 人類学的研究としては、観音寺本馬遺跡、国府遺跡、日下遺跡より出土した埋葬人骨の実査をおこなった。各人骨の形態学的特徴の観察、各部位の計測、および写真撮影を実施し、近畿地方における基礎データの蓄積を進めた。なお、国府遺跡および日下遺跡については、人骨の時期比定が十分でなく、これまで漠然と縄文時代晩期と把握されている。次年度、これらの遺跡出土遺物の実査をおこなうことにより、より正確な年代把握をすることができれば、より詳細な年代軸における縄文社会動態研究の基礎資料として意義があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本務との兼ね合いにおいて、時間調整が十分でなく、実地における資料調査が予定通り実施できていないため、研究の進行が遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
夏期にまとめて資料調査を実施し、秋期にデータの整理、冬期に不足分の再検討という調査サイクルをつくり、計画的かつ円滑に研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度十分実施できなかった国内外の資料調査旅費として主に使用する。また、報告書資料の悉皆調査と調査データの整理のための補助員の謝金として使用する。なお、一部については、調査に伴う必要な資材や図書の不足を補う購入費として使用する。
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