2011 Fiscal Year Research-status Report
現代祝祭のグローバルな伝播に関する比較研究:国内外のよさこいとエイサーの増殖
Project/Area Number |
23520953
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
内田 忠賢 奈良女子大学, 人間文化研究科, 教授 (00213439)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 現代祝祭 / よさこい / エイサー / グローバル / ローカル / 文化伝播 / 比較研究 |
Research Abstract |
「現代祝祭のグローバルな伝播に関する比較研究:国内外のよさこいとエイサーの増殖」というテーマで調査研究を進めている。 本年度は、国内5ヵ所の「よさこい系祝祭」を調査した。また、ある地域チームに密着取材をした。海外で開催される「よさこい系祝祭」についても現地調査をする予定であったが、諸般の都合により、中止した。したがって、国内に関しては、フィールドワークにより、新しい情報が入手できたが、海外に関しては、web上、あるいは文献での情報収集に留まっている。また、「エイサー系祝祭」に関しては、国内1ヵ所のみ調査するに止まった。 全国800ヵ所以上で開催される「よさこい系祝祭」に関しては、次の5点が明らかになった。1)各祝祭は、発祥地である高知・札幌との関係性に頼ることなく、それぞれ独自に展開する。2)それぞれ、地域を舞台にする祝祭であるが、参加チームは地域内にとどまらず、遠方から参加するチームが少なくない。3)全国各地に急速に増殖した祝祭であるが、その展開も頭打ちになっている。4)海外に関しては、国内有名チームの積極的な遠征により、日本文化のイベントとして増殖している。5)このようなグローバル化の一方、国内各地では、都道府県レベルの広域を統合する祝祭として開催されている。現代祝祭のローカル化である。 一方、沖縄を発祥地とする「エイサー系祝祭」は、全国的に展開するが、国内については、1)展開する地域に偏りがある、2)各祝祭とも、沖縄出身者が関係するか、沖縄との関わりの中で展開する、3)参加チームは地域内にとどまらない、4)海外に関しては、日本文化のイベントとされる。5)グローバル化はあるが、ローカル化はない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「よさこい系祝祭」に関しては、初年度から、海外調査を予定していたが、取材相手先のご都合等もあり、次年度以降に延期した。一方、国内については、概ね予定通りの現地調査を行った。 一方、「エイサー系祝祭」に関しては、国内1ヵ所の現地調査に止まった。しかし、予備調査段階で、地域的な偏りが大きいと判明し、しかも、「よさこい系祝祭」が増殖するメカニズムを理解する比較軸がエイサーであるという位置付けなので、概ね予定通りと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
「よさこい系祝祭」について、少々遅れ気味の調査研究を推進する。当初予定していたブラジル・サンパウロ市での現地調査を諸般の都合で取り止めたため、その旅費を次年度へ繰り越すことにした。まずは、海外調査にて新しい情報収集を行う。次に、国内調査に関しては、予定通り実施する。 「エイサー系祝祭」調査については、あくまでも「よさこい系祝祭」の展開を考える比較軸であるので、時間的・経費的制約もあり、予定通り、国内調査に止める。 関連資料・文献の収集は引き続き行う。残り期間が2年間なので、研究成果のアウトプットも含め、計画的に推進したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「よさこい系祝祭」については、まずは、グローバルな展開の実情を知るべく、海外調査に出かけたい。次に、国内調査に関しては、引き続き現地調査を進める。 「エイサー系祝祭」調査については、関西圏を含め、国内数ヵ所の現地調査を予定する。 関連資料・文献の収集を引き続き行うが、フィールドワークによる調査研究を課題とするため、研究費の主な使途は旅費等である。
|
Research Products
(5 results)