2012 Fiscal Year Research-status Report
森林資源の利用技術としての畑作と野生動物の管理に関する民俗環境史的研究
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23520994
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
岡 惠介 東北文化学園大学, 健康社会システム研究科, 教授 (90301697)
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Keywords | 森林 / 畑 / 焼畑 / 採草地 / 放牧地 / 野生動物 / 北上山地 / 明治・大正期 |
Research Abstract |
①森林を畑や焼畑、採草地、放牧地、薪炭林へ改変し利用するための民俗技術について、現在、逆にこうした土地利用が放棄され、森林に戻ろうとしている点に着目し、それらの利用放棄の時期やかつての利用実態についての聞き取りによる復元を行った。 ②畑、焼畑、採草地、放牧地、薪炭林などと森林との境界ゾーンの管理について聞き取りを重ねてきたが、実際に境界の維持を主目的とする行動はあまり見られず、田盛業の営みの結果としてこれら境界の維持が図られるという傾向性があることが明らかになりつつあり、調査結果を分析中である。 ③森林を改変した土地利用の放棄状況と、当該地域の植生調査については、引き続き今年度も調査を継続するが、放棄された土地は50年前に比べてかなりの面積になることがわかってきた。 ④野生ニホンカモシカの分布と食害調査の影響把握についても、北上山地全域での把握は困難であり、調査地点を絞って聞き取りを進めている。 ⑤明治・大正期の野生動物の利用と商品化については、文献調査中であるが、ニホンシカについての皮を中心とした商品化について、多くの情報が収集されている。また、これまで言及されてこなかった、岩手県において明治期に公文書に記録のあるニホンオオカミに似たという「カセキ」という動物について注目し、これについての情報を収集中である。 以上に加えて、⑥雑穀の商品価値の時代的変遷については文献を調査中である。⑦戦後すぐの時期における焼畑の跡地の現在の土地利用状況については、調査に着手し、現在のところ山林になっている場所が多いが、一部耕作地として利用されている例もあることがわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究のための出張が学部の理解によって認められ、おおむね予定通りの調査が進められているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績に述べた①、②、③については調査データの解析を進める。 ④については、聞き取り調査には限界があるため、北上山地のニホンカモシカを中心とする野生動物の生態に関する研究成果の文献調査や研究者とコンタクトを取って情報を得られるよう努力する。 ⑤、⑥、⑦については、現地に赴き調査を進めて、データを集積していく。 これに加えて今年度は⑧の五葉山周辺の山村の現地調査を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現地調査のための出張旅費として使用する。
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