2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530020
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
笹倉 秀夫 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (10009839)
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Keywords | 法解釈 / 英米法 / ドイツ法 / 判例解釈 / 法の一般原則 / the Literal Rule / the Golden Rule / the Mischief Rule |
Research Abstract |
課題研究の一環として本年度に中心的に行った作業は、三つあった。第一は、『入門法学講義』(仮題)と題する法解釈学の基礎理論書の執筆であり、第二は、英米とドイツで法解釈の手法がどのように伝承されてきたか、それらが判決にどのように具体化されているかを分析する作業であり、第三は、国際法における法解釈をめぐる議論の考察である。 第一の作業は、本年度中にほぼ書き上がり、その点での成果を見た。『入門法学講義』では、法解釈の技法が判決の中にどう具体化されているか、それらが当該判決においてどのように重要な働きをしているかを、数多くの判決を収集して分析し整理した。また、法律の解釈だけではなく、判例を解釈・適用する際にも同様な手続きが行われていることを、イギリスの判例解釈の研究を踏まえながら考察した。この点に関しては、日本でこれまでなかった視点を提示しえたと思う。 第二の作業は、英米・ドイツの法解釈に関する諸文献を読み、そこから全体像を得ることと、特にイギリスで発達した、the Literal Rule,the Golden Rule,the Mischief Rule, the Purposive Approachなどに関する文献を読み、議論を整理するとともに、それらが判決に具体的にどのように使われているか、その議論と、日本やドイツでの解釈理論とがどういう関係にあるかを考察した。 第三の作業は、特に国際法の分野では、成文法が少ないため、前例・慣習法の解釈やさらには法の一般原則の発見適用が重要であるが、この法の一般原則の思想がどのように形成されたか、それが実際にどのように使われているか、それがドイツで発達した(我々が言う意味での比附に当たる)法の一般原則の理論とどういう関係にあるか等が、重要なポイントであった。 第一の作業が一段落したので、これからは、第二、第三の作業を進めるつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、報告者の日本に関するこれまでの研究を踏まえて、ドイツ、イギリス、アメリカを主要対象にし、第一に、各国で実務(判決)において法解釈の作業がどういう技法をどう使っておこなわれており、その作業は全体としてどういう構造をもつか、その作業の理論的把握にはどういう特徴・問題があるか、を考察すること、第二に、それらの営みを国家間で相互比較した場合にどういう共通性と差異性が析出されるか、その異同は何によるか、を考察することにある。 上記のように、2012年度はこの方向で研究が進み、関係する本の原稿執筆がほぼ完成するなど、成果が、まだ中間段階であるとは言え、具体的に挙がっているので、研究はおおむね順調に進んでいると確認できる。 。
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Strategy for Future Research Activity |
上に述べたように、2012年度中に進めた作業の内の、第二と第三の作業は、新たなスタートという面があるので、これらを柱にして、さらに理論書の読破と判例分析を進行させ、成果を論文にまとめていきたい。 このうち第二の課題に関しては、引き続き、本研究に関連した基礎的資料、問題意識を共有する基本的文献の収集・解析を進める。the Literal Rule,the Golden Rule,the Mischief Rule, the Purposive Approachなどに関しては、文献をさらに読みとともに、それらと判決の関係を深める。判決は数が多いので、分析に時間がかかる。それに加えて、できれば、イギリスとアメリカでの、法解釈の違いを比較法的に深めたい。アメリカについては、Henry M. HartとAlbert SacksのThe Legal Process(1958)など、評価法学の成果を、今年度はもっと深めるつもりである。 第三の作業に関しては、慣習法論や法の一般原則の理論の文献を、さらに読み進めていくつもりである。慣習法の理論の展開と、法の一般原則の理論の形成史とは、本年度もさらに作業を推し進めていくつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度後半は、『入門法学講義』(仮)の執筆にかなりの時間を要したので調査等ができず、未使用分が287520円となってしまった。 『入門法学講義』の原稿は、本年8月末に完成したので、これからは、調査等ができる予定であり、未使用分は、今年の使用予定額600000円に合算して、使用する。 使用の内訳予定は、消耗品費400000円、図書費3000000円、旅費150000円、その他37520円である。
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Research Products
(2 results)