2011 Fiscal Year Research-status Report
比較の中のロシア陪審制―制度化の初期段階における評価の揺れと試行錯誤
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23530021
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
小森田 秋夫 神奈川大学, 法学部, 教授 (30103906)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 陪審制 / 裁判員制度 / 国民の司法参加 / 司法改革 / ロシア / 韓国 / カザフスタン / ポーランド |
Research Abstract |
1.2011年9月にモスクワおよびワルシャワに出張し、次のことを行なった。 (1)モスクワ市裁判所において、陪審裁判を傍聴した(ジャーナリストによる取調官誹謗事件)。(2)社会団体「独立法鑑定評議会」およびモスクワ法科大学刑事訴訟講座において、日本の裁判員制度について報告するとともに、陪審員経験者・裁判官・研究者などからなる「陪審員クラブ」のメンバーと両国の司法参加制度について意見交換を行なった。これにより、今後の研究協力の基礎を築くことができた。このほか、高等経済学院刑事訴訟講座においても、学生を対象に裁判員制度についての講演を行なった。これらの報告・講演にもとづく論文が、ロシアの専門誌において発表される予定である。(3)ワルシャワ管区裁判所において参審員を務めている男性から、聴き取りを行なった。 2.2012年3月にソウルに出張し、次のことを行なった。 (1)「参与連帯」司法監視センター、ソウル大学校法科大学の韓寅燮教授および申東雲教授から、国民参与裁判、とくにその見なおしの論点について聴き取りを行なった。(2)ソウル東部地方法院およびソウル南部地方法院において、国民参与裁判を傍聴した。とくに前者は少年による尊属(母親)殺人という社会的関心の高い事件であり、国民参与裁判の実際について詳細な情報を得ることができた。 3.日本国内およびモスクワ・ワルシャワにおいて、ロシアの陪審制およびポーランドの参審制についての文献を蒐集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・ロシアと韓国における現地調査によって、研究協力者との協力関係を築くとともに、市民参加の裁判の実態に触れることができた。また、日本の裁判員制度についてロシア側に紹介した。・文献蒐集の点で、ある程度成果を上げることができた。・死刑制度と陪審制との関連に言及した論文を公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
・最高裁判所の指針や批判的見解を素材として、陪審制の運用状況と問題点について整理する。・ロシアおよびポーランドにおける現地調査を継続し、とくに前者における「陪審員クラブ」、後者における「参審員評議会」についての情報の蒐集に努める。・カザフスタンにおける現地調査を行ない、文献を蒐集するとともに、できれば実際の裁判を傍聴する。・帝政ロシアと現代ロシアの陪審制の比較について、連携研究者と討論する。・最終年度に計画している国際ワークショップの準備として、各国比較の論点表を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・カザフスタン、ロシア、ポーランドにおける現地調査のため、国外旅費を使用する。・連携研究者との研究打ち合わせのため、国内旅費を使用する。
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