2013 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期日本における世界法研究の歴史的位置と今日的意義
Project/Area Number |
23530052
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
桐山 孝信 大阪市立大学, 大学運営本部, 副学長 (30214919)
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Keywords | 世界法研究 / 国際法学 / 戦間期国際社会 |
Research Abstract |
研究期間全体を通じて、戦間期の世界法研究をリードしてきた恒藤恭の研究に着目し、関連の各種シンポジウムで報告や司会を行った。 最終年度は、戦間期から戦時期、さらには戦後直後に至る日本における世界法研究の進展を一貫してとらえるために、恒藤恭の業績を中心に検討した。ひとつは、世界法研究の中心は世界平和の実現にあると考える立場から、恒藤の一連の業績を検討して、大阪市立大学で開催されたシンポジウム「戦争の世紀と恒藤恭の平和主義」で、「恒藤恭の平和主義と日本の安全保障・憲法」というタイトルで報告した。これについては、年度が改まるが、論文として発表することになっている。 もう一つは、これまで十分な検討がなされていなかった、戦時期における世界法研究について、「全体主義に対峙する恒藤恭」という表題で論文を執筆した。『法学雑誌』60巻3号(近刊)で発表されることになっている。 世界法研究がしばしば理想主義的立場からの議論に過ぎないという批判を受けることがあるが(たとえば田畑茂二郎『世界政府の思想』における批判)、世界法を社会の経済的基盤と関連させて議論する恒藤の場合には、そうした批判を避けえていることだけでなく、いわゆる実証主義が克服できないでいる将来への展望をも示し得ている点で、今後の社会科学としての世界法研究の礎をなしていることが確認できた。 さらに、研究期間を通じて、世界市民思想と対極にあるが現代的課題として考察の対象としてきた先住民族の権利についても、『法律時報』の小特集を企画し、総論的考察を発表した(法律時報2013年11月号)。
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Research Products
(3 results)