2012 Fiscal Year Research-status Report
わが国を含むEU域外諸国の視点から見た国際家族に関するEU規則
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23530057
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
岡野 祐子 関西学院大学, 法学部, 教授 (60224044)
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Keywords | 国際家族に関するEU規則 |
Research Abstract |
2012年度は、①まず、国際離婚に関する問題のうち、イングランドで家族法事案において用いられている、「Hemain差し止め」と呼ばれる外国訴訟差し止めについての、イングランド裁判所の判例を考察・検討し、次いでこれに対する諸外国での反応のうち、EU域外国であり、かつコモン・ロー国としてイングランドと繋がりのある、オーストラリアにおいて、同じく家族法事案に用いられている「外国訴訟差し止め」についての判例・学説の動向を研究した。現在、この研究を元に論文を執筆中である。②次いで、離婚に際しての子の親権、監護権など親責任の問題については、EU域外国以外にも多くの諸国が加盟しわが国も加盟が現実問題となっている「ハーグ子奪取条約」とEU規則との関係につき、EU内で論じられている議論を調査・研究した。日本が「ハーグ子奪取条約」加盟後、EU加盟国の当事者と日本人との間に子の奪い合いが生じた場合を念頭に置いての研究である。③さらに、扶養義務に関するEU規則と、夫婦財産制に関する欧州委員会提案について基礎調査を行った。 海外での調査としては、ブルガリアのソフィアで開催されたInternational Law Associationの研究大会に出席し、報告を聞き、研究者と議論する機会を得た。また、オーストリアの国立図書館において、上記研究テーマに関する資料収集を行った。 これらの研究成果の一部として、判例評釈として『国際私法判例百選(第2版)』に「離婚事件の国際裁判管轄」と「嫡出否認」を、また民商法雑誌に「日本の裁判管轄を認め母を親権者と指定した事例」を執筆した。また、テキスト『国際関係私法入門(第3版)』に第10章:家族法の基本原則、第11章:婚姻・離婚、第12章:親子の章を分担執筆した。さらに、日本司法書士会連合会中国ブロック会一般会員研修会において「国際家族法の基本」と題する講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度は上述のように、当初の予定通り、国際家族事案に関する外国訴訟差し止め命令についてのイングランドの判例・学説と対比させつつ、EU域外国での判例・学説の動向を研究した。また離婚に際しての子に対する親責任の問題につき、EU加盟国以外の諸国も多く加盟している「ハーグ子奪取条約」とEU規則との関係の研究を行った。さらに夫婦財産制の問題をカバーするEU規則についての基礎調査も行った。これらの点において、「研究の目的」について、2年目の達成度としては順調に達成できていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
①まずは2012年度に引き続き、家族法事案における外国訴訟差し止めに関するオーストラリアの判例・学説の動向を研究し、論考にまとめる。②次いで、わが国におけるハーグ子奪取条約加盟の動きに注目しつつ、子に対する親責任に関するEU規則とハーグ子奪取条約との関係についてのEUにおける議論をさらに調査・研究する。③さらにこれらと並行して、夫婦財産制の問題をカバーするEU規則につき、更に調査を進める。 上述の調査・研究は、2012年度と同様に、購入した文献やインターネットにより収集した資料によりまずは基礎調査を行い、合わせて海外に赴き最新情報を収集・調査する方法により行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度は、消耗図書費として購入予定であった図書の発刊が当初の予定より遅れたことなどから、次年度使用額が生じた。これについては、2013年度に、当初の計画通りに消耗図書費に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)