2011 Fiscal Year Research-status Report
中小企業の親族間事業承継にかかる労働法・会社法・家族法からの分析
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23530061
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水島 郁子 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90299123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 眞弘 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20108781)
木村 敦子 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50437183)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 中小企業 / 事業承継 / 労働法 / 会社法 / 家族法 |
Research Abstract |
本研究は、中小企業における親族間事業承継の問題を法的に分析することを目的とするが、初年度である本年は、中小企業における事業承継の実情と基本問題の状況把握に努めた。第1回研究会(6月2日・京都大学)では、山下税理士を講師にお招きし、実務のご経験から事業承継対策や後継者教育の必要についてお話しいただいた。さらに、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律について、詳細に解説いただいた。第2回研究会(8月3日・京都大学)では、水野社会保険労務士を講師にお招きし、とくに親族間の事業承継について、特徴を指摘するとともに、具体例を多数、紹介いただいた。これら2回の研究会から、法的分析・検討を行うにあたっては理論的分析にとどまるのではなく、実務を意識した検討が必要であること、実務では(それが当事者に意識されているかどうかは別として)労働法・会社法・家族法の問題が複雑に関係しうることが、引き出された。研究会とは別に、基本問題を把握するために文献調査を行った。文献調査により、事業承継の問題について労働法、会社法、家族法、税法の立場からそれぞれ取り組んだ先行研究はあるものの、たとえば労働法分野では中小企業に視点を限定した研究はほとんどないこと、親族間の事業承継は実態として多く行われているものの、法的理論的研究はそれほど多くないこと、さらに法分野をこえた総括的な研究はほとんどなされていないことが、明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である本年は、事業承継の実情を把握することを目的とし、一定の実情把握と文献収集・調査を行うことができた。文献調査を行った結果、このテーマに関する総括的な研究は十分とはいえないのが現状であることから、日本の研究に重点を置くことが重要であるとの結論を得た。また、このことを踏まえると、当初は比較対象国として、韓国、ドイツ、オーストリアを想定していたが、比較対象国をしぼって研究を進めることが望ましく、上記3国の中では研究代表者・分担者の研究蓄積があるドイツが対象国としてふさわしいとの考えに至った。そのため、本年予定していた韓国調査はとりやめ、次年度以降のドイツ調査に向けての準備を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、研究会を3回程度予定している。実務家講師からの情報提供のほか、研究代表者・分担者が順次報告する。平成23年度に引き続き、中小企業をめぐる動向にかかる文献調査を行う。ドイツにおいて、文献調査ならびにヒアリング調査を、実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費は、平成23年度同様、書籍や消耗品の購入にあてる。初年度に予定していた物品費予算はほぼ執行しており、次年度は当初の計画通りに執行する。旅費については、平成23年度の未執行分が多いが、これをあわせることにより、研究代表者・分担者3名が現地(ドイツ)調査を行うことが可能である。人件費・謝金は、研究補助謝金と現地調査の通訳謝金に充てる。
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Research Products
(4 results)