2013 Fiscal Year Annual Research Report
道半ばの「農地改革」と日本農業のゆくえ――農地資源はだれのものか
Project/Area Number |
23530069
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
原田 純孝 中央大学, 法務研究科, 教授 (50013016)
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Keywords | 平成の農地改革 / 農地耕作者主義 / 農地取得の自由化 / 地域的農地管理 / 農地賃貸借制度 / 農地中間管理機構 / フランスの新農業法 / 日仏比較 |
Research Abstract |
1 23年度には、新農地制度の運用状況を踏まえて、新制度の当面のインパクトと今後に予想される問題を多面的な視角から考察した原田純孝編著『地域農業の再生と農地制度』(農文協。23年度研究発表⑥)を刊行し、東北の津波被災地の農業復興の課題をも取り込んで、農地並びに土地法制度の運用実態に関する現地調査と情報収集を進めた。また、農地の保全・管理の制度的課題(国際コンファレンス)、津波被災地の復旧・復興と土地法制度の課題、日仏比較からみた構造政策の課題に関する招待講演も行った(同前研究発表④⑤②)。 2 24年度には、日本の農地賃貸借制度がもつ固有の特質と問題点を剔出した論文を発表し(24年度研究発表①)、総体的な考察のための一つの重要な土台を築くと同時に、津波被災地をも含んだ現地調査と情報収集を継続した。2012年4月から実施された「人・農地プラン」の策定状況が注目されたが、民主党農政の「ある種の迷走ぶり」もあって、農村現場の対応は遅れ気味であった。津波被災地の復旧・復興事業の遅延の大きな要因の一つに土地法制の不備があることも、調査から確認できた。 3 25年度には、(1)2012年末政権交代後の農政の方向の変化に注目しつつ、(2)津波被災地をも含んだ現地調査と情報収集を継続した。(1)では、新たに登場した農地中間管理機構法の準備過程をフォローし、法案の国会審議では参考人意見を陳述した(研究発表②③)。国会での法案修正と付帯決議にはその意見が反映されている。(2)については、得られた知見の一端を発表した(同前①⑤)。 (3)フランスについては、前年度の現地調査で知られた大きな法改正の動きをフォローし、10月末の法案の議会提出後は、その内容の分析作業に着手した。研究発表④は、新法の分析の前提となる論文、同⑥は、日仏の比較研究を総括するための準備作業となる発表である。
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