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2011 Fiscal Year Research-status Report

裁判員時代の捜査

Research Project

Project/Area Number 23530077
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

大久保 隆志  広島大学, 法務研究科, 教授 (20346472)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords任意捜査 / 自白の任意性
Research Abstract

平成23年度は,まず供述証拠の収集を巡って,従来から「証拠の女王」と称され,これまでの裁判においてはもとより,裁判員裁判においてさえも価値ある証拠として用いられていると思われる「自白」を獲得するための取調べの限界を検討し,これまでは許されないとされていた取調べ手法も,一定限度においては許容される余地があり得るのではないかということを明らかにしようとした。そのため,前提作業として,取調べの任意性と自白の任意性との関係をつぶさに検討し,これを前提として,取調べの限界を検討することとした。その結果,当面の帰結として,第1に,任意捜査における任意性と自白法則における任意性とは必ずしも常に一致するわけではないと考えられること,第2に,任意捜査の限界という観点からは,捜査側の利益と取調べを受ける者が被る損害との比較衡量によって取調べの相当性を判断することが可能であり,その場合,後者の損害は,取調べそれ自体によって被る直接的な心理的苦痛であると考えることができること,第3に,そのような観点から任意捜査としての取調べを検討すると,身柄拘束型の取調べと情報提供型の取調べとは区別して検討するのが適切であること,第4に,身柄拘束型の取調べにおいては,任意捜査の限界と自白法則との関係は大きな食いちがいは生じないが,情報提供型の取調べにおいては,取調べを受ける者の直接的損害は必ずしも容易に想定することが困難であること,第5に,情報提供型の取調べについて取調べを受ける者の直接的損害は想定しがたいとしても,それにもかかわらず後者の取調べによって得られた供述には強い疑惑が抱かれており,その観点を考慮すると,「著しく不当な利益提供」を用いて取得された供述はやはり排除されるのが相当であろうと思われることなどを確認することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

供述証拠、とりわけ自白をめぐる捜査方法について、最低限度、一定の方向性を示すことができたのではないかと思われる。

Strategy for Future Research Activity

供述証拠をめぐる捜査方法に続いて、非供述証拠をめぐる捜査方法、たとえば、欺罔を用いて鑑定資料を入手する捜査、相手方の錯誤を利用して行う捜査など、一定限度の権利侵害を伴う可能性のある捜査方法について、任意捜査として実施することができるかどうか、できるとすればその限界はどこにあるかなどについて順次検討を進め、裁判員時代における新たな捜査方法について検討を深めたいと考えている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本年度と同様、研究図書等を購入する予定。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 取調べの限界―主体的選択と「任意性」の在り方を巡って―2012

    • Author(s)
      大久保隆志
    • Journal Title

      広島法科大学院論集

      Volume: 8号 Pages: 61~133ページ

URL: 

Published: 2013-07-10  

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