2011 Fiscal Year Research-status Report
IDの法的研究-共通番号、国民ID及び民間IDのプライバシー・個人情報保護
Project/Area Number |
23530122
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 正朝 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (00422618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 浩光 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (10262958)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | プライバシーの権利 / 個人情報保護 / 番号 / 識別子 / マイナンバー / ケータイID |
Research Abstract |
社会保障・税番号(マイナンバー)等の公的個人番号(識別子)とケータイID等の民間個人番号(識別子)を対象として、初年度は以下の研究を行った。 国民に番号(識別子)を付することになぜ法律の根拠が必要なのか。国家が付する番号(識別子)は、全て人権侵害(プライバシー侵害)リスクが高いのか。例えば車のナンバー等社会に存在する多様な番号とマイナンバーとはどこが違うのか。国家の公的個人番号だけに人権侵害リスクがあるのか。ケータイIDやグーグルアカウントなど民間個人番号には人権侵害リスクは存在しないのか。要するに、法的規制を検討すべき番号(識別子)の法的性質について、マイナンバー法案の起草作業及び医療個人情報保護法案の起草過程に関与し、またケータイID関連の事件の検証作業を通じて次の結論を得て論文、学会発表等を通じて公表した。 要するに、番号が識別子として機能する条件として、(1)悉皆性と(2)唯一無二性が求められること。番号(識別子)利用の利便性と脅威が発現する条件として、(1)その悉皆性の対象となる母集団の大きさと(2)利用期間の長期性(時間的問題、記録の集積性、(3)利用範囲の広範性(空間的問題、取扱主体及び分野の横断性、記録の多様性)の程度が分析されなければならないことがわかった。 こうした番号(識別子)の性質を研究し、番号制度による便益を最大化し、そのプライバシー侵害等の脅威を最小化する方策を提言し今日の立法政策に反映させる必要があるほか、ケータイID、スマートフォンに関わるプライバシー侵害への対策を提案し、ビジネスを過度に萎縮させない法規制のあり方を提言していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイナンバー(公的個人番号)及びケータイID(民間個人番号)など識別子に関する研究成果は、法律雑誌の論文にまとめ、書籍(共著)の一部にも反映し、法律雑誌のインタビューとしても公表したほか、学会、シンポジウム等でも両名で10回ほど発表した。また、ネットの動画配信(にこにこ生放送)やブログ(自宅の日記)、新聞、雑誌等の取材に応えるかたちで広く社会に発信した。 さらに民主党のマイナンバー法案に関するヒアリングに応じて本研究成果を踏まえた提言を行った。また、厚生労働省社会保障サブワーキンググループ構成員として、医療個人情報保護法案に向けた提言を行うなど立法政策にも関与している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年通常国会にマイナンバー法案が提出され、平成25年通常国会には医療個人情報保護法案(仮)を提出すべく厚労省を中心に起草の準備が進められている。前者の法案については民主党から鈴木・高木ともに参考人としてヒアリングに応じ、後者の法案について鈴木が厚生労働省社会保障分野SWG構成員として関与していることから引き続き本研究成果を六法政策的な提言につなげていきたい。 また、ケータイ及びスマートフォンのID、グーグルアカウント(ID)など民間個人番号(識別子)に関する新たな法的問題も顕在化してきており、社会的関心も日々高まっていることから、具体的な事件等を題材に、本研究をすすめていきたい。 さらには、こうした新たな動向を踏まえて、それらの技術的特徴や機能に着目しながら公的個人番号と民間個人番号に通底する法的問題を探り、研究を推進していくこととしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究成果は、現在必要とされる立法政策や今日リアルタイムで問題解決が求められるケータイ、スマートフォン等情報ネットワーク上の新しいタイプの問題について、即時のアウトプットが必要であることから、(1)ホームページ開設費用(ソフトウェア等)、(2)動画配信用機材、(3)動画編集のできるハイスペックなノートパソコン、(4)研究会開催のための交通費に使用する計画である。 なお、ノートパソコンは昨年度購入の計画であったが、動画編集及びサイト立ち上げと配信が翌年度にずれ込んだことから購入時期もそれにあわせて次年度に請求することとした。
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Research Products
(8 results)