2012 Fiscal Year Research-status Report
IDの法的研究-共通番号、国民ID及び民間IDのプライバシー・個人情報保護
Project/Area Number |
23530122
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 正朝 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (00422618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 浩光 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (10262958)
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Keywords | Privacy / 個人情報 / 識別子 |
Research Abstract |
研究会やSkypeを活用してオンラインでの打合せを通じて、公的個人番号としてのマイナンバーについて、それから民間個人番号としてのTポイントカードの番号、ケータイやスマートフォンのデバイスの識別子、それからそれらのユースケースの一つである行動ターゲティング広告モデルについて詳細な検討を行った。 法規制を要する識別子の性質として、一般に(1)悉皆性、(2)唯一無二性が指摘されるが、それがどのように本人(個人)の人格的権利利益(プライバシー権)に影響を与えるのかを分析すること。 個人データの第三者提供における特定個人の識別性判断の主体が論点になるところを示し、提供事業者基準説と受領者基準説の比較検討を行い、提供事業者基準説が基本となるべきところを明らかにすること などを明らかにして、論文等で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究途上であるが、論文にとりまとめ、すでに5本以上報告しており、また、本件についてのセミナーの依頼に応じ、公式、非公式にマイナンバー法案や個人情報保護、医療個人情報について、行政に提言する機会をいただくなど、一定の成果につながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
アベノミクスの登場により、イノベーション促進の機運が高まり、個人情報保護法における「個人情報」の定義(「特定個人の識別」の意義や「照合」の意義)を「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野ガイドライン」(告示)の解釈変更を通じて、(連結可能)匿名化措置を施したデータを規制対象から外し、規制緩和によるビジネス支援を行う施策が動き出しつつある。 まさに本研究テーマである「識別子」の性質についての十分な理解がないまま、さらには国際的な規制動向とも乖離するところにわが国の行政の第一次的解釈が流れつつある。また、ポイント制度や行動ターゲティング広告など現に氏名などを用いずに主に識別子を介して、本人を同定しながら行うビジネスも具体的にいくつも立ち上がってきており、本研究における問題意識をより早くより広く共有してもらうべく提言していく必要がある。具体的には、個人情報に識別子が含まれる場合と含まれない場合において、現行法においてどのように解釈していくべきか、また解釈論上の限界も示し、今後議論されるであろう個人情報保護法改正や医療等個人情報保護法の議論につながる成果を立法論的な提言を行う予定である。 なお、法律雑誌ではすでに何本か論文を公表していることから、オンラインでの動画配信などを通じてよりわかりやすく研究成果を公表できるようコンテンツ制作にも力をいれたい。 また、最終年度となることから報告書をとりまとめ、その報告会を開催する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、英国のインフォメーション・コミッショナー関係者のヒアリングを計画していたが、その後、カナダオンタリオ州のプライバシー・コミッショナーのヒアリングの方がわが国の立法政策により参考になることが判明したため、インタビュー先を変更して、海外調査を実施する計画である。
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Research Products
(7 results)