2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530131
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西村 智朗 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70283512)
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Keywords | 気候変動 / 生物多様性 / 持続可能な発展 |
Research Abstract |
本年度は、国際環境法の観点から見た「持続可能な発展」概念における規範性と実効性を総括する研究活動をおこなった。 素材とする多数国間環境協定として、京都議定書と名古屋議定書に焦点を絞り、それぞれの条約制度において、他のレジームとの重複や抵触をどのように解決しようとしているかについて、締約国会議の議論や学説などを中心に文献を集めて検討した。その結果、京都議定書においては途上国の森林保全に対する支援活動(REDD+)、名古屋議定書においては遺伝資源に関する地域住民の伝統的知識など、人権法に関連する分野での抵触の問題が生じており、持続可能な発展概念の社会的発展の側面の重要性を再確認することができた。海洋法や他の国際機関との抵触などについては、引き続き検討していく必要がある。 期間全体の研究を通じて、持続可能な発展概念が、多数国間環境協定に及ぼす影響に加えて、WTO協定などの国際経済法との連携に一定の規範的役割を果たしていることを明らかにすることができた。リオ+20による国連の制度的変革の分野においては、国連環境計画(UNEP)の改革についての分析をおこなったが、さしあたり、これまで途上国から指摘されていたUNEPの官僚的性格に対する批判をかわすための配慮が見られるものの、国連における環境問題の民主的立法作業を行う機関としては十分とは言えない現状を確認した。もっとも、UNEP改革ついては、国連での議論が継続中であり、海外を含めた学説の整理などについては引き続き検討していきたい。 結果として、持続可能な発展概念の国際法上の規範性についての分析については、当初の計画通りの成果を得ることができたが、その実効性については、国連や多数国間環境協定における制度面の法的整備が追いついておらず、今後の課題として残されていると言える。
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Research Products
(4 results)