2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530135
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Research Institution | Institute of Information Security |
Principal Investigator |
湯淺 墾道 情報セキュリティ大学院大学, その他の研究科, 教授 (60389400)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / 国際研究者交流 / アメリカ / 韓国 / 中国 |
Research Abstract |
2011年度は研究の初年度にあたり、次のような実績を上げることができた。ICTを用いて政治的意思を表示する制度の基本的な枠組みについては、近時急速に普及しつつあるソーシャル・メディアを政治的意思表示の手段として用いる場合の法的問題点について検討し、その結果をアメリカにおける政府ソーシャル・メディア利用の現状『情報セキュリティ総合科学』第3号(2011年)121-133頁で公開した。適切な政治的意思を形成するための権利義務の制約と匿名言論の保障の是非については、上記の論文において、ソーシャル・メディアを利用した場合の言論の自由の保護、行政の情報公開との関係などについて検討した。また情報通信機器を活用する場合のリスクと法との関係については、情報通信機器を活用する場合、通信の障害などの発生の可能性を避けることはできない。しかし、わが国の行政においては長年「行政無謬」が前提となっており、行政の失敗や手続違反に対する世論の批判は強いものがある。このような状況においてどのように情報通信機器を利用すべきかについて検討し、その結果を湯淺 墾道・林 紘一郎「災害緊急事態」の概念とスムーズな適用」『情報セキュリティ総合科学』第3号(2011年)32-53頁で公開した。高度情報社会における国家の役割の再検討と、民間事業者との関係については、政府・自治体がソーシャル・メディアを利用する場合、ユーザーは民間事業者のアカウントを取る必要がある。また、国家権力がこのような民間メディアを利用して政策形成を行うことについては、情報公開や公文書管理保存との関係から問題が生じうる。それらについて検討した結果を、「自治体の情報公開制度の現状と課題」『九州国際大学法学論集』18巻3号(2012年)で公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、おおむね順調に進展していると考えられる。上記の研究実績の概要に示したとおり、すでに研究内容の一部については論文として公刊できるほどに進展している。また査読付き学会誌に投稿したものもあり、修正した上で受理され、公刊予定であるものがある。具体的には、「日本セキュリティ・マネジメント学会誌」、情報ネットワーク法学会学会誌「情報ネットワークロー・レビュー」に掲載される予定である。これらのことから、研究については計画通り進展しており、当初の目的を達成することが可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、前年度の研究を基本的な枠組みにおいて継続する。特に研究成果の中間的な総括を行い、随時論文公開等の手段によって成果の公表を行う。また、平成24年度はこれまでの研究成果の一部をとりまとめて、研究書として公刊することも検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね当初の計画にしたがい、研究費を使用する予定である。各費目の明細についても、特に大きな変更はない。
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