2011 Fiscal Year Research-status Report
政策の優先順位づけにおける意思決定構造の実証的研究-都市自治体行政を対象に
Project/Area Number |
23530150
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
佐藤 徹 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (50363776)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 政策の優先順位 / 自治体 / 総合計画 / 行政評価 / 予算編成 / 施策評価 / 政策評価 |
Research Abstract |
平成23年度の目標は、行政評価の普及とともに自治体において導入されつつある「政策の優先順位づけ」に関する理論的検討を行うことである。 まず、政策過程研究、行政管理研究、評価理論研究等に関する先行研究の検討を行った。 つぎに、「政策の優先順位づけ」が総合計画(計画の階層構造、計画期間、実施計画の策定方式等)、予算編成(枠配分予算制度の有無・形態等)、行政評価(評価対象、評価頻度、評価時期等)の諸システムとどのような関係を形成しているかを解明するため、本研究に先駆けて2009年に全国の都市自治体806団体(783市・23特別区)を対象に行ったアンケート調査(『自治体の総合計画・行政評価・予算編成に関する実態調査』)で得られたデータをもとに、欠損値処理、量的データからカテゴリカルデータへの変換、データのリコードなどを行い、388団体からなるデータセットを作成した。『自治体の総合計画・行政評価・予算編成に関する実態調査』の結果、政策評価において「政策を構成する施策間の優先順位づけ」を実施している自治体が17団体(政策評価導入団体のうち10.3%)であるのに対し、施策評価において「施策を構成する事業間の優先順位づけ」を実施している自治体が68団体(施策評価導入団体のうち41.2%)であることが明らかであったため、「施策評価において施策を構成する事業間の優先順位づけの導入有無」を目的変数とし、総合計画・行政評価・予算編成の各システム及びこれらシステム間の連動に関する64項目を説明変数として、AIC統計量(赤池情報量規準)を用いて統計的に分析を行った。これにより、施策評価において事業間の優先順位づけの導入有無がどのような因子によって説明されるかを明らかとなった。 以上の調査や分析から、「政策の優先順位づけ」の意思決定構造を説明し得る理論仮説を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展していると考えられるが、政策過程研究、行政管理研究、評価理論研究等に関する先行研究のさらなる検討を踏まえた上で、「政策の優先順位づけ」の意思決定構造を説明し得る理論仮説の導出を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果を基に、「政策の優先順位づけ」システム導入自治体のマクロ分析を行う。 応募者の先行調査(前述)から、施策評価において「施策を構成する事業間の優先順位づけ」を実施していることが確認された都市自治体(68団体)に対してアンケート調査を行う。 調査項目の要となる「影響主体」としては、首長(マニフェストを含む)、総合計画担当部署、行政評価担当部署、予算編成担当部署、施策担当部署、施策関連部署、議会(議員)、第三者組織(外部評価委員会)、庁議(経営会議、政策会議等を含む)、市民セクター(自治会・町内会、NPO・市民団体等)などが想定される。必要に応じて個別に電話による聞取調査や自治体へのインタビュー調査を行う。なお、アンケート調査は依頼状を同封し、目的等を説明し同意の場合のみに無記名で回答を依頼する。 分析にあたっては、前述の応募者の先行調査結果と接合したデータセットを作成し「総合計画」「行政評価」「予算編成」のシステム間の相違を加味しながら、多様な主体の影響力構造を統計的に分析する。この結果を踏まえ、次年度調査のための質問項目作成に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究の核となる自治体アンケート調査にかかる業務一式(アンケートの印刷、封入、郵送、督促、回収、仕分け管理、データ入力等)を業者に委託するのに必要な経費に加え、アンケート調査の結果を補強しデータの精度を向上させるために行う自治体インタビュー調査に伴う旅費、研究補助員への謝金(インタビュー調査補助、アンケート調査補助、調査資料整理、研究成果のウェブページへの掲載・更新等)などが主な研究費の使用用途である。
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