2014 Fiscal Year Annual Research Report
2013:数値目標失効後の世界-機能が低下した地球環境ガバナンスの行方
Project/Area Number |
23530189
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
沖村 理史 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (50453197)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / ガバナンス / 気候変動問題 / 国際関係論 / 政治学 / 環境問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究申請(2010年11月)の前年に開催された気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)での合意決裂を受け、2012年末に期限切れを迎える京都議定書第一約束期間後の後継国際制度は見通しが不明であった。そこで、本研究は、数値目標の失効による地球環境ガバナンスの変容の解明を目指し、特にCOP15での決裂を修復し、新たな気候変動ガバナンスを定める国際交渉の力学に主たる焦点を当て事例分析を行った。各国の自主的な約束を積み上げて気候変動の抑制をはかる方向性を定めたカンクン合意(COP16, 2010年12月)をうけ、COP17では、2020年以降の気候変動ガバナンスを2015年までに成立させるとしたダーバン合意が定められた。これにより、米国や主要発展途上国を含む全世界が、国内で定めた約束に基づき気候変動の抑制をめざすボトムアップ型アプローチによって気候変動ガバナンスを達成する方向性が定まり、京都議定書のように交渉会議で数値目標を定めるトップダウン型アプローチからの転換が図られることとなった。ただ、各国の自主的な約束を積み上げるだけでは全体では緩い目標になる懸念があったため、野心的な目標を目指しつつ、先進国も途上国も含む全政府が合意できる内容をいかにして達成するかが、研究期間中の交渉内容であった。 平成26年度は、COP20と作業部会に参加し、政府間交渉で模索している地球環境ガバナンスシステムの制度設計とその決定過程について情報収集を行った。COP20では、2020年以降の国際体制の交渉草案が議論されると共に、各国が自主的に提出する約束の内容や、約束の提出時期に合意した。ここまでの交渉の経緯については、原稿にまとめつつある。また、気候変動ガバナンスを支える地域的な取り組みについても分析を行った。この分析結果は環境法政策学会で報告し、その報告内容に加筆した論文を学会誌に掲載した。
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Research Products
(2 results)