2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530195
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
有馬 哲夫 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (10168023)
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Keywords | ソフトパワー / メディア / テレビ / マスコミ / 原子力平和利用 / プロパガンダ / インテリジェンス / 心理戦 |
Research Abstract |
一九五三年八月、日本テレビ放送網株式会社(以下日本テレビとする)が放送を開始する際、米国のユニテル社がマイクロ波リレー網の設計を手掛け、RCA(大手電機メーカー)がテレビカメラと送出機を輸出した。これは米国のソフトパワー戦略の中心部局であるUSIA(アメリカ情報局)などの仲介によるものだった。テレビ番組に関しても日本テレビはUSIAの仲介で、米国のケニヨン・エッカート(広告代理店)やNBC(放送網)から番組を入手している。これには吉田茂、野村吉三郎、ウィリアム・キャッスル(元米国務次官)などがかかわっていた。 日本テレビ以外でも、NHKやTBS(当初はラジオ東京)など、一九五〇年代にUSIAの仲介のもと米国の三大放送網(NBC、CBS、ABC)から海外ニュースや娯楽番組を入手し、放送した。当時日本はテレビ番組制作のノウハウも製作費もなかったので、米国製のコンテンツに大いに依存していた。これが日本人を親米化し、米国のソフトパワーが働きやすくした。のちに日本テレビはNBCと、TBSはCBSと提携関係を結び、現在にいたっている。このような提携関係は、日本の放送業界に限らず、広告業界、世論調査会社にも見られる。 日本へ「アトムズ・フォー・ピース」のキャンペーンを行ううえで、米国はこのようなメディア状況を最大限に利用した。USIS(アメリカ情報サーヴィス、国務省の情報サーヴィス提供機関)も多くの原子力平和利用のPR映画を提供したが、もっとも効果的だったのは、一九五七年の末にテレビ放送された『わが友原子力』だった。これは日本テレビ(当時の原子力委員長正力松太郎が創設した)とディズニー社との提携によって可能になったものだ。 USIAやUSISなど政府系の広報機関や情報サーヴィスにコンテンツを提供し、アメリカのソフトパワー戦略の重要部分を担っていたのは、米国の放送網や広告代理店や映画会社だった。
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Research Products
(4 results)