2013 Fiscal Year Research-status Report
社会的選好と互恵的行動を導入したモデルによる財政的外部性問題の再検討
Project/Area Number |
23530356
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
佐野 博之 小樽商科大学, 商学部, 教授 (60301016)
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Keywords | 政治的競争 / 政治的交渉 / strategic delegation / 社会的選好 / 租税競争 |
Research Abstract |
平成26年度は、前年度までに検討していたモデルの分析がうまくいかなかったため、もう一度モデルを再構築するために、関連文献の精査から始め、様々なモデルを構築する中で、研究課題を達成するために最も適切なモデルを選択し、分析するという作業を行った。モデルの詳細は未だ不十分ではあるものの、研究課題の1つをクリアするために適切と考えられるモデルを構築することはできた。しかし、分析は途上で、論文として完成するには至らなかった。分析の対象となっているモデルの概要は、以下の通りである。 複数の地域で構成される国家を想定し、中央政府(国)もしくは地方政府(地方自治体)が地方の公共支出の財源として、資本税を用いる状況を考える。地方政府がそれぞれ独立に自地域内の資本に課税する税率(資本税率)を決定する地方分権型のモデルと、中央政府が一律の資本税率を決定し、各地域への公共支出の配分を決定する中央集権型モデルの2つを考察し、比較する。地方分権型モデルは基本的には通常の租税競争モデルであるが、政治的競争が組み込まれている点が通常のモデルとは異なる。地域において過半数を占める投票者は自身の厚生水準にしか関心を持たない利己的な個人であるが、地方政府の政策決定者となり得る候補者の中には、他地域の厚生にも関心を持つ社会的選好を持った候補者が存在するとする。このとき、過半数を占める利己的な投票者が自分とは異なる社会的選好を持つ候補者を選ぶようなstrategic delegationが起こる可能性が考えられる。分析により、このモデルにおいてstrategic delegationが観察された。 次に、中央集権型モデルでは、各地域が選挙を通じて中央の議会に代議員を送り込み、各代議員が中央議会で政治的交渉を通じて政策を決定する状況を考察した。このモデルの分析結果は現時点で不明(分析途中)である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
試行錯誤でモデルの構築を行ってきたが、なかなか研究課題にフィットするモデルの構築ができず、分析が思うように進まなかった。もう一度根本的に再構築したこともあり、時間がかかって、論文として仕上げるには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はすでに構築したモデルの分析を行うことができるので、可能な限り早い時期に結果を出し、論文を完成させる。さらに、いくつかのセミナーで報告し、海外専門誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文が完成に至らなかったために、学会やセミナー等で報告することができなかった。したがって、主に旅費を計画通り支出できなかったためである。 論文を完成させ、学会やセミナー等で報告するための旅費として使用する。また、海外専門誌に投稿するために、英文のネイティブチェックを受ける必要があるが、そのサービスの購入に充てる。
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