2011 Fiscal Year Research-status Report
近代ロシア製粉業の技術構造と市場競争条件に関する実証研究
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23530409
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
中川 雄二 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (30227756)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 製粉業の再編 / 近現代のロシア / 市場競争力 / 技術の標準化 |
Research Abstract |
2011年11月26日に市場史研究会第56回大会(2011年度秋季大会)で「19世紀末―20世紀初頭におけるロシア製粉業の再編について」と題する研究報告を行った。ロシアでの史料収集に先立ち、研究報告を通じて論点の整理を行うことを目的に、技術導入と市場競争力の視点からロシア製粉業の再編の方向について報告を行った。報告を通じて製粉技術の標準化と市場競争力の強化という論点が明確となった。 2012年3月11日から25日までの期間(11日と25日は移動日)、ロシア連邦サンクトぺテルグルグ市に出張し、13日間の滞在で同市の古文書館とロシア国立図書館(ЦГИА等)で19世紀末~20世紀初頭のロシア製粉業の経営組織、技術、流通、および市場の形成と展開に関わる史料の調査と収集を行った。事前に作成した史料リストを元に史料の精査と複写(筆写とコピー)を行い、一定の目的をほぼ達成した。しかし、滞在期間と史料筆写の制約により、製粉業界の動向に関する史料の収集において課題を残した。 帰国後、収集した史料を、製粉関連産業内の業種・業態を基準に整理分類し、業種や業態ごとの経営と技術の特性・構造・機能、業種・業態間(主体間の垂直的・水平的)関係、並びに国内外の市場構造に関する分析を進めることが可能となり、目下、作業を進めている。 2011年11月の研究報告と収集した史料に基づき、製粉技術の標準化と市場競争力の視点から市場史研究会への投稿論文を執筆中である。 今年度も史料分析の結果を経済史関係の学会や研究会で報告し、議論を通じて分析結果や論理構築の妥当性を検証する。その上で検証結果を精査の上、ケーススタディーの論文等で成果を公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度における本研究の目的は、主としてロシア連邦サンクトペテルブルグ市において史料の調査と収集を行うことであった。 本研究課題の遂行の前提となる史料の収集について、今年度においては全体目標の30%程度を達成した。サンクトぺテルブルグ市所在のロシア国立サンクトペテルブルグ市中央古文書館やロシア国立図書館で19世紀末から20世紀初頭の製粉業や製パン業との関連業種の技術・経営動向並びに流通・市場事情に関する史料の調査と収集が実現できた。これにより、本研究計画を推進する上で重要な足がかりを得ることができた。 反面で、当時の業界誌の史料の入手が十分でなかった。原因は、この史料はカメラや複写機による史料の複写が施設当局によって認められず、筆写による作業によるしかなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、史料収集に時間を要することを勘案し、モスクワ市に15日間(移動日も含む)出張し、当地のロシア国立図書館、国立モスクワ市中央古文書館等で史料の調査と収集を行う。とくにサンクトペテルブルグ市で入手が不十分であった製粉業とその関連業種の業界誌の記事の収集に力を入れたい。また、モスクワ市の上記の施設で新たな史料の発掘と収集に努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度において、旅費450,000円、その他50,000円を計画として計上したが、旅費が航空運賃の季節差によって400,000円でおさまった。また、史料収集費は50,000円の計画をほぼ消化した。したがって46,046円の残金を残す結果となった。 平成24年度は、史料収集に時間がかかることを勘案し、15日間のモスクワ出張を予定しており、前年度の実績に従えば、旅費は400,000円(交通費と15日間の滞在費)、史料収集費は46,046円となる。
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