2011 Fiscal Year Research-status Report
インサイダー・レンディングと機関銀行‐産業革命期企業金融に関する日米比較研究‐
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23530417
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
黒羽 雅子 山梨県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50330733)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | インサイダー・レンディング / 機関銀行 |
Research Abstract |
平成23年度は、夏期における海外調査および収集済み資料分析のための電子文書作成作業を中心に行った。実施した研究・調査等の内容および発表は以下のようになる。 (1)平成23年9月11日から21日まで、米国ニューイングランド地方の初期銀行業と産業金融との関係を示す資料の閲覧および収集のため、ハーバード大学ビジネススクール・ベーカー図書館歴史的文献史料室を訪問した。こちらの資料は、撮影や複写が禁じられているものがほとんどで、手書きの膨大な帳簿類の中から、重要と思われる部分を書き写す作業、マイクロフィルムに収められた資料の閲覧および複写の作業それぞれに3日ずつの時間を割いた。また、マサチューセッツ州内の地勢および文化等に関する資料を同州立図書館(土曜日曜開館)で収集することができた。この調査に関する報告は、平成23年10月8日(土)法政大学イノベーションマネジメント研究センター企業家史研究会において詳細な報告を行った。 (2)単著「資料解題:『若尾地所部決算報告書』分析」(共著(研究代表)「山梨県産業金融史」地域研究交流センター共同研究報告書2010年3月、pp.23-28.)の継続研究のなかで、甲州財閥に関する知見を深めることができた。とくに、若尾家の冒険的企業活動との比較研究を財閥と銀行業(2):松本重太郎/岩下清周(大阪財界と銀行業)」 法政大学イノベーション・マネジメント研究センター公開講座 「企業家でたどる日本の金融事業史」法政大学エクステンション・カレッジ特別セミナー、2011年11月19日)において発表することができた。 (3)その他収集した資料の電子データ化のために、自身とアルバイトによる作業を行った。この成果は、平成24年度の法政大学Household Finance研究会で報告することになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年末より体調を崩し、平成24年には入院手術および退院後の加療を余儀なくされ、同年3月の海外調査の実施及び、平成23年度研究をまとめた研究論文の完成が不可能になった。退院後、徐々に体力も回復し、平成24年度の研究計画は実施できる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、「平成23年度には資料の収集および既に入手した資料の分析を重点的に、24~5年度にかけては新資料の追加により事例の積み上げを行う。25年度には日米の事例研究の成果を比較検討する。企業勃興期の日米における金融機関行動における「ある種の錬金術」的共通性を析出することをめざす。」というものであった。平成23年度の資料収集および分析に若干の遅れが出ているが、平成24年度は計画通りに実施できる見通し手である。 具体的には、時間的スケジュール(目安)として、4-8月:資料分析(23年度までに入手済みのもの)、補完的国内資料調査;8‐9月:海外資料調査(ハーバード大ベーカー図書館歴史コレクション、マサチューセッツ州立図書館、同州立歴史協会、米国議会図書館他)10-1月:新規入手資料の分析および山梨県関係資料分析;2月:今年度研究総括開始;3月:海外調査(ネブラスカ州立歴史協会、同州立アーカイブス、ネブラスカ州銀行家協会図書館、ラトガーズ大学図書館、米国議会図書館等) 内容的スケジュールとして、当年度は、海外資料の収集に精力的に取り組む。今年度の調査はボストン(マサチューセッツ)地区に加えて、ワシントンDC(議会図書館)およびネブラスカ州リンカーン地区において資料収集を実施する。リンカーン地区では西部山岳地方の19世紀中頃の銀行資料、新聞・雑誌等の周辺資料を収集する。 当年度は相当な量の資料を収集する予定であり、その整理や分析に供する状態への資料の加工も重要な作業となる。この実施方法も「作業A」となる。その際には適宜、アルバイトの雇用などで研究の進捗を図る。山梨県に関するものは、23年度の作業を引き続き実施し、25年度の研究の総まとめにつなげていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、春期の海外調査の実施ができなかったため約31万円の執行不足となった。平成24年度は、健康も回復したので、海外調査を2回実施するとともに、アルバイトの応援を得て、資料の電子データ化(統計ソフトを使用するため)を進めることにする。 そのため、海外調査に約90万円、アルバイト謝金に約15万円、統計ソフト(SPSS)の更新に約30万円、書籍・資料複写・報告書等の印刷および文具消耗品、電子機器の補充に残余額を使用する。
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Research Products
(1 results)