2013 Fiscal Year Research-status Report
企業グループにおけるダイベスティチャー戦略の包括的実証研究
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23530436
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大坪 稔 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90325556)
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Keywords | ジョイントベンチャー / 共同出資会社 / 資本提携 / 提携 / 事業の再構築 |
Research Abstract |
本年度は、日米企業の共同出資(ジョイント・ベンチャー;JV)に関するサーベイを行い、そのうえで日本企業を対象とした実証研究を行った。先行研究のサーベイについては、米国企業を対象としたJVは実証研究を中心に比較的研究の蓄積がなされているものの、日本企業のJVを対象とした実証研究はほとんど見られなかった。そこで、米国企業を対象とした先行研究のサーベイを行った結果、①JVには多様なメリットが指摘されていること、②さまざまなメリットにも関わらず、JVは短期間のうちに消滅する傾向にあること、③短期間の消滅が必ずしも株主価値を低下させるとは限らないこと、が明らかとなった。 そこで、本年度は①と②に焦点を絞り、JVの設立方法に着目しつつ、日本企業が設立するJVにおいても短期間のうちに消滅する傾向にあるのか、さらにはJVの設立や消滅がJVのメリットとどのような関係にあるのか、に関してイベント・ヒストリー分析を用いた実証分析を行った。 その結果、つぎの3点が明らかとなった。第一にJVを設立する親会社のさまざまな属性はJVの設立方法と関連しているのに対し、JVの消滅とは関連性が見られなかった。親会社の属性はJVのメリットと関連していると考えられるため、この結果は設立方法によりJVのメリットが異なることを示唆している。第二に、JVの設立から消滅までの期間がJVの出資方法によって異なることが明らかとなった。第三に、2つの親会社がそれぞれ金銭出資と現物出資を行うことで設立されたJVや親会社と同業種のJVほど親会社よって完全子会社化の対象となることが明らかとなった。第二と第三の結果は、JVの出資方法がJVの消滅と関連していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、日本企業を対象とするジョイント・ベンチャーに関する実証研究を行い、その結果は台北で開催された国際会議「Global Business and Finance Research Conference」(2013/10/28)で公表した。 さらに、この結果は「Global Economy and Finance Journal」へ掲載が決まっていることから(2)のおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、JVに関連する残された問題である「JVの設立や消滅は、親会社の株主価値の増大に寄与するのか否か?」について実証的に明らかにする予定である。これまでの研究より、日本企業を対象としたJVの実証研究がほとんど行われていないことが明らかとなっているため、引き続き米国をはじめとする海外におけるJV研究のサーベイを行い、そのうえで日本企業を対象とした実証研究を実施する予定である。
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