2011 Fiscal Year Research-status Report
企業の組織再編(M&A)が研究開発効率に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
23530448
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石井 康之 東京理科大学, イノベーション研究科, 教授 (10408742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長平 彰夫 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10323122)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | M&A / 特許属性データ / 特許出願価値 / 因子分析 |
Research Abstract |
研究開発成果の定量的測定手法について先行研究を検討し測定に必要なデータの整理を行った。併せて、M&Aが研究開発効率に及ぼす影響に関して先行研究で採られてきた分析手法を精査し、そのうち活用できる点と改善すべき点を明確にした。さらに、必要なデータの収集を実施し、データベースの構築を行った。本研究では、特許情報の中から、特許出願に対して第三者が行った無効審判・異議申立、情報提供、特許包袋の閲覧、被引用回数、クレーム数、IPC分類数、発明者数、外国特許出願の有無などの特許属性データが持つ意味合いを吟味したうえで、特許出願価値に帰結させた。さらに、特許出願価値を算出する企業を特定するために、M&A事例を選定した。選定基準は、(1)国内上場企業同士のM&A、かつ、(2)M&A前後での各企業財務データが時系列で取得可能なものとした。そして、選定されたM&A事例の各企業が出願した特許出願属性データ、企業財務データを取得した。この場合において、各特許属性データが相互にプラスの相関を有していることを確認した上で、因子分析により因子負荷量を算出し、その値から各属性が有するノイズを除去した値を求めた。得られたノイズ除去後の因子負荷量を、各属性のウエイト値として、各属性の件数、回数等に乗じたうえで、ウエイト付けされた全属性値の合計を個々の特許出願の価値として算出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、研究開発効率性の定量評価に関する先行研究のレヴューと、分析に必要となるデータの特定(特許情報、M&A事例、企業財務)、収集、それに基づいたデータベースの構築を行うところまでを意図していたが、それらについてはすべて完了し、さらに平成24年度に予定していた特許出願価値の算出まで実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたデータベースと特許出願価値を用いて、まず特許出願価値が研究開発成果としての妥当性を有しているかどうかの検証を行う。そのために、データベースに蓄積されている各企業の年度別付加価値、稼働資本ストック、従業員数とともに、特許出願価値を用いて、回帰分析を実施する。そのうえで、良好な結果が得られた場合は、求めた特許出願価値を研究開発成果とみなして、それが各企業のM&A実施前後においてどのように変化しているかを、モデルを構築することで検証していく。併せて、M&A実施前後における研究開発成果創出(研究開発効率)の変化をもたらした要因を分析するために、各企業に対するインタビューを実施する。同時に、個別企業データを駆使して、研究開発成果の量的側面と質的側面のどちらにおいて変化が見られたかも確認を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まずは、データベースを使用して、昨年算出した特許出願価値を用いて、それと企業の生産性(付加価値)との親和性の解析を生産関数を使用して分析する。併せて、M&A実施企業のM&Aの前後における研究開発効率性の変化について、特許情報を活用しつつインタビュー調査を行い、実態把握に努める。
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