2014 Fiscal Year Annual Research Report
企業の組織再編(M&A)が研究開発効率に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
23530448
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石井 康之 東京理科大学, イノベーション研究科, 教授 (10408742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長平 彰夫 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10323122)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 特許出願価値 / 研究開発効率 / 技術距離 / M&A実施形態 / 相対規模 / 市場集中度 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度実施した企業ヒアリングによる情報などに基づいて、M&A実施が研究開発効率にどのような形(効率の質的側面と量的側面のいずれか)で影響を及ぼしているかについて、まとめを行った。企業によって量的増減の散らばりが見えたものの、結論的には、トータルとしてみた時に研究開発成果の質的水準は上昇していたものの、それを上回るような量的減少が生じ、結果的に質量を合わせた効率が低下していたことが判明した。特に、量的減少の理由については各企業からはさまざまな理由が挙げられたが、主に研究開発成果の量から質への転換、費用削減による効率の追求といったことがその背景にあったことが確認された。 さらに、M&A実施当事者企業の業種の異同、M&A実施形態(合併か買収か)、当事者企業が有する技術の類似度、当事者企業どうしの相対規模、市場集中度など、M&Aに関わる各種諸事情を説明変数として、特許出願の価値の集計値を被説明変数とし、研究開発費などでコントロールしたOLS回帰式を使用して回帰を行った。それによって、M&Aを取り巻く諸事情が統合後の研究開発効率にどのような影響をもたらすかについてのインプリケーションを得た。結論として、当事者企業の相対規模はその格差が大きいほど、また相互の技術分野は異なるほど、M&A実施後の研究開発効率は高まることが確認された。その他の諸事情については、M&A実施後の研究開発効率の変化に特段の影響を及ぼすという事情は認められなかった。 これらの結果をベースとして、今後の研究の方向性について整理を行った。つまり、研究開発効率の質的変化と量的変化のそれぞれに影響を及ぼす要因について分析し、それらがM&A実施前後でどのように変化したかを確認することが課題となると整理づけた。
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Research Products
(4 results)