2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業のグローバル化における言語戦略と組織能力の構築に関する探索的研究
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23530466
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
澤木 聖子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40301824)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 日本企業の言語戦略 / 組織能力 / 社内公用語英語化 / 言語コスト / 国際コミュニケーション能力 / グローバル・タレント・マネジメント / グローバル人事 / 韓国企業の英語戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、日本国内の企業調査に加え、日本国内で働く社会人を対象に「日本企業における社内公用語の英語化」に関するウエブ・アンケートを実施した。 本調査研究は、日本企業の社内公用語の英語化に象徴される言語戦略が、近年の日本企業のグローバル人事にどのような影響をもたらしているかを問題意識として実施された。 研究期間全体を通じて調査対象となった企業は、製造業(家電・電子部品・自動車)及び非製造業(金融・商社・運輸)である。このうち、平成26年度には、ここ10年間の英語化戦略がもたらした人事政策への影響について焦点を置き調査を進めた。その結果、海外現地人材の育成に加え、国内人材のグローバル要員としての育成が加速し、企業グループにおけるグローバル共通の人材育成・登用・処遇のシステムづくりを急務の課題として認識する傾向が確認された。このことは、外国人留学生や専門職外国人の雇用と定着を戦略的に図るために年功賃金制を廃止するなど、従来の日本の人事制度の特徴を見直す企業事例とも連動して理解される。 調査対象となった多国籍企業では、グループ企業全体の国籍を問わない個々の従業員の能力を適材適所で活用するために、人材データベースによるプラットフォーム化を実現させ、人材の評価尺度を英語によって統一する動きも出ている。 本調査研究の結果では、長期雇用や潜在能力、職能資格制度を重視してきた従来の日本的人事制度から、外国人を含めた中途採用者の活用、全社レベルのクラウド型人的資源の能力の可視化へと、企業組織の人材マネジメントのしくみにも英語を必要とする変化が確認された。 働く人々を対象にした調査からは、日本企業の組織能力と英語力との間には正の相関があるとしながらも、社内公用語英語化導入の是非については、総じて慎重な意見が見られた。言語戦略をめぐる組織能力の構築において、新たな課題が浮上した結果となった。
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Research Products
(1 results)