2011 Fiscal Year Research-status Report
人事プロフェッショナルの多技能化に関する実証的研究:人的資源の全体最適化に向けて
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23530478
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
井川 浩輔 琉球大学, 観光産業科学部, 准教授 (80433093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厨子 直之 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (40452536)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 経営学 / 人的資源管理 / 人事プロフェッショナル / 多技能化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、企業の経営戦略達成に必要な人的資源の全体最適化を人的資源管理の担い手である人事プロフェッショナルの多技能化という切り口から紐解くことである。その具体的な研究課題の1つとして、例えば、人事プロフェッショナルのスキルとその形成をサポートする人的資源管理の関係を明らかにすることがあげられる。このような研究目的を達成するための平成23年度の研究実施計画は、人事プロフェッショナルに関連する文献を収集してレビューを行い、平成24年度に実施を予定している質的予備調査で用いる分析枠組を設計することであった。 上記研究目的に関連する平成23年度研究実績の概要であるが、その具体的内容は2つに大別できる。1つは、人事プロフェッショナルに関連する先行研究を収集してレビューを行ったことである。そのレビューの中で特に重要性が高かった文献の1つは、Ulrich, D. & Brockbank, W. (2005) The HR Value Proposition, Harvard Business School Press.である。Ulrich & Brockbank(2005)では、人事プロフェッショナルの役割とその育成について体系的に整理されており、本研究に理論的基盤を提供するという点において一定の意義を有する書籍と考えられる。もう1つは、我が国における人事プロフェッショナルの先進事例に関する情報を収集したことである。具体的には、社団法人日本能率協会が開催している「The 31st International HRD Conference & Expo HRD JAPAN 2011」に参加して、人事プロフェッショナルのスキルや育成に関するデータを収集した。これらのデータは質的予備調査で用いる分析枠組の妥当性を高める上で極めて重要なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は「研究実績の概要」において示した通りであるが、その研究目的の現在までの達成度は、以下のように要約できる。 平成23年度に実施した文献レビューでは人事プロフェッショナルに関する国内外の文献を対象に検討を行ったが、その結果として明らかになった課題の1つは、我が国における人事プロフェッショナルの先進事例に関する具体的情報が限られているということである。このような状況において、「研究実績の概要」において示した「HRD JAPAN 2011」に参加して、人事プロフェッショナルのスキルや育成に関する1次・2次データの収集を行った。例えば、パネル討議&参加型セッション「グローバル時代を担うHRスタッフに必要な知識・スキル」では、トヨタ自動車株式会社の先進事例「専門性と心構えを育む人事機能Master(親方)養成プログラム」についての紹介がなされた。そのセッションでは、2次データとして、トヨタ自動車株式会社における人事の専門性とその専門性を養成する制度に関する具体的情報について収集することができた。また、1次データとして、講演者に養成の仕組みについて直接質問して情報を収集した。平成23年度中に、これらの情報を収集できた点については、自己点検において一定の評価を行うことができると考えられる。その理由は、国外の文献を理論的基礎とした分析枠組を研究において用いる場合、その分析枠組の妥当性を国内の事例に適用して確認する必要があるが、今回「HRD JAPAN 2011」において収集されたデータはその確認作業に活用できるためである。このような妥当性の検討は、平成24年度に実施する質的予備調査において行う予定であったが、事前に確認作業を行えたことは研究推進上極めて重要なことである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に関する今後の研究の推進方策について、年度ごとに整理する。平成24年度は、4月から6月頃、文献レビュー等の結果を基にして、年間計画を作成する。7月から9月頃、研究協力者が所属している企業等の同意を得た上で、質的予備調査を行う。10月から12月頃、質的予備調査の結果を分析して、分析枠組の再検討を行う。1月から3月頃、調査結果を事例として記述して、紀要等において公刊する。 平成25年度は、4月から6月頃、質的予備調査の結果を基にして、年間計画を作成する。7月から9月頃、研究協力者に紹介していただいた企業等の同意を得た上で、質的本調査を行う。10月から12月頃、質的本調査に関する事例間の比較分析を行う。1月から3月頃、分析結果を中心とした論文を執筆して学会誌等に投稿する。 平成26年度は、4月から6月頃、質的本調査の結果を基にして、年間計画を作成する。7月から9月頃、研究協力者が所属している企業等の同意を得た上で、量的予備調査を行う。10月から12月頃、量的予備調査の結果を分析して、質問項目の再検討を行う。1月から3月頃、調査結果を紀要等において公刊する。 平成27年度は、4月から6月頃、量的予備調査の結果を基にして、年間計画を作成する。7月から9月頃、研究協力者に紹介していただいた企業等の同意を得た上で、量的本調査を実施する。10月から12月頃、量的本調査の結果を分析する。1月から3月頃、分析結果を中心とした論文を執筆して学会誌等に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度(平成24年度)の研究費(直接経費700,000円)の使用計画について、その具体的内容を費目別に整理する。第1に、「物品費」であるが、200,000円を予定している。その内容は平成24年度に実施を予定している質的予備調査の準備に関するものであり、その内訳として、人事プロフェッショナル・戦略的人的資源管理・ナレッジワーカー・多技能化・定性的調査法・定量的調査法等に関係する図書、整理用ファイル等文具、デジタル機器関連消耗品、等があげられる。質的予備調査の状況に応じて、質的データ解析用ソフトウェアを購入する可能性がある。 第2に、「旅費」であるが、400,000円を予定している。その内訳は、質的予備調査への同意を得るための神戸人事研究会への参加、質的予備調査を行うための研究協力者が所属している企業への訪問、研究や調査の打ち合わせや質的予備調査の結果分析を行う研究会への参加、等があげられる。質的予備調査の状況によって、企業への訪問回数は変動する可能性がある。 第3に、「その他」であるが、100,000円を予定している。その内訳には、文献レビュー等で用いられる学術雑誌印刷費用、その印刷物の郵送に関する費用、等が含まれる。文献は研究代表者と研究分担者の間で共有するようにする。 最後に、本研究は次年度に使用する予定の研究費がある場合(「収支状況報告書」の「次年度使用額」の合計欄が0円以外の場合)に該当するが、その金額は392円と少額であるため、次年度(平成24年度)の研究費の使用計画に変更はない。
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Research Products
(2 results)