2012 Fiscal Year Research-status Report
アジアのコンテンツ産業におけるイノベーションシステムと共進化に関する国際比較研究
Project/Area Number |
23530501
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安田 武彦 日本大学, 商学部, 教授 (30246805)
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Keywords | 国際経営 / 文化経済学 / サービス経済 / 国際文化交流 / クリエイティブ産業 / イノベーション / ネットワーク / 東アジア |
Research Abstract |
アジアのコンテンツ産業を調査し、その産業構造上の特徴を明らかにした上で、イノベーションを生み出すプロセスを分析することが本研究の目的である。映像コンテンツ産業とメディア産業におけるイノベーションを創出するためのネットワーク構造とそのガバナンスに関する調査と分析を行ってきた。平成24年度も前年度までの研究調査を継続し、コンテンツの制作とメディア産業とのネットワーク構造の分析を行い、特にインターネットを利用したニューメディアの登場による構造変化に焦点を当てて調査を行った。 平成24年度は、シンガポール、タイおよび香港の現地調査を行い、映像コンテンツ産業を分析した。ニュー・メディアの成長の影響を把握するために、政府の情報通信政策に関する調査も合わせて行った。シンガポールとタイでは、ASEANにおける映像コンテンツ流通の現状に関する調査をし、資料と情報を収集した。 また本研究では、アジア域内における文化関連材取引の拡大によるイノベーションシステムの共進化を分析することを第二の研究目的としている。アジア各国におけるコンテンツ産業のイノベーションシステムと国際文化交流によるコンテンツ産業の発展に関するこれまでの研究成果の一部を、中国南京市の河海大学で開催された国際コンファレンス「Management Innovation and Win-win Cooperation in East Asia」において研究発表を行った。合わせてアジア各国や欧米の研究者と研究テーマに関する意見交換ができたことは、今後の研究の発展に向けて大きな成果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において調査・分析とするアジアの国・地域は、シンガポールおよびASEAN、韓国、台湾、香港および中国である。平成24年度は、尖閣諸島の国有化による中国における反日デモ、竹島問題による韓国との関係悪化などにより、中国および韓国への調査が予定通りには進展しなかった。その代わりに、シンガポールと香港に関する研究はかなり進展したので、次年度に研究成果の一部を発表する予定である。 シンガポールにおけるコンテンツ産業のイノベーションシステムに関する研究成果の一部は、英文論文として公表した。またアジアにおけるイノベーションシステムの共進化に関する研究成果の一部を、国際コンファレンスにて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
シンガポール、韓国、台湾、香港および中国のコンテンツ産業のイノベーションシステムの調査を行う。平成25年度は、引き続きシンガポールとASEAN、および香港のイノベーションシステムとその共進化を調査し、研究成果をまとめていく。また24年度に延期した台湾、韓国の調査を行い、資料の収集や情報交換を行っていく。 日本をオリジナルとするコンテンツとアジアの映像コンテンツ制作との関係性に関する分析を引き続き行っていく。さらに25年度は欧米をオリジナルとするコンテンツとの関係性も合わせて調査し、アジアのコンテンツ産業のイノベーションシステム間の共進化の分析を深化させていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の東日本大震災、24年度の中国の反日デモと竹島問題による韓国との関係悪化などにより、この2年間海外調査が一部滞った。そこで平成25年度は、海外調査に重点をおき研究を進めていく予定である。シンガポールおよび他のASEAN諸国への調査、また北東アジアの香港、台湾、韓国への調査を順次行っていきたい。また欧米コンテンツのアジアへの影響が相変わらず大きいので、欧米のコンテンツ制作者およびメディア関係者への調査も合わせて行う。米国および英国・フランスなどへの調査を予定している。そのため海外旅費を必要とする。 研究成果の発表および研究者との交流のために、国内外での研究大会や国際コンファレンスに参加する。そのために国内外への旅費を使用する。 平成24年度にPCの購入を予定していたが、office2013の発売を待って購入するように変更したので、25年度に購入を行う。 平成25年度も、引き続き関連図書や出版物を資料として購入する。また人件費・謝金については、国際コンファレンスでの発表、海外の学術誌への投稿を予定しているので、翻訳またはネイティブチェックのための費用を必要とする。
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