2014 Fiscal Year Annual Research Report
北米における多国籍企業の輸出加工戦略と国境経済圏の研究
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23530520
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
上田 慧 同志社大学, 商学部, 教授 (50121786)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 多国籍企業 / 国境経済圏 / マキラドーラ / 輸出加工 / クラスター / 国際経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、北米自由貿易協定(NAFTA)加盟3ヵ国を対象に、多国籍企業が優遇税制・低賃金等の制度格差を利用して隣国に輸出用の加工・組立基地を設置する「国際輸出加工戦略」について考察し、地域経済に及ぼす影響を明らかにすることであった。 最終年度の論考「メキシコ新興自動車クラスターと内陸マキラドーラの発展」『同志社商学』(2015年)では、メキシコの国境地帯だけでなく内陸中央高原の国道45号線沿いに日系自動車企業が大挙進出し、輸出加工企業(マキラドーラ)も多様な形態で内陸部に展開することによって、メキシコの輸出加工貿易国化が加速していることを明らかにした。 単著『多国籍企業の世界的再編と国境経済圏』(2011年)では、中国とメキシコの輸出加工制度を比較し、その共通性と異質性を指摘した。さらに、米国デトロイトの自動車「分工場」と言われるように、カナダのNAFTAハイウェー401号線に沿って「米国=カナダ国境経済圏における自動車産業の集積」『同志社商学』(2011年)が進んでいることを明らかにした。日系企業の多国籍企業化の現状と輸出加工戦略の特徴については、学校法人同志社新島講座「多国籍企業の世界」(2013年)の講演で成果を公表した。次いで、「国際経営と多国籍企業の現段階」『同志社商学』(2014年)では、中国をヒントに外貨準備高との関連で輸出加工貿易のモデル化を試み、委託生産など契約による非出資型の国際生産や地域開発の経路を通じて、途上国の多くが多国籍企業による国際取引に組み込まれていること、その課題や問題点、課税回避地の利用などの新動向を考察した。 以上により、冒頭で触れたように、カナダと比較しつつ、メキシコの内陸部自動車クラスターの成立など、北米における輸出加工制度の変容と課題が明らかになってきた。今後はそうした研究成果を新著に反映させたいと考えている。
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Research Products
(2 results)