2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530536
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 文男 京都大学, 経済学研究科(研究院), 名誉教授 (40066676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 靖永 京都大学, 経営学研究科, 教授 (70240447)
曳野 孝 京都大学, 経営学研究科, 准教授 (50301825)
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Keywords | グローバル・マーケティング戦略 / 新興国の中間層 / パナソニックのマーケティング / ソニーのマーケティング / タイの家電流通チャネル / ベトナムの家電流通チャネル |
Research Abstract |
本年度の研究では日本の家電産業の代表的企業であるパナソニックとソニーのタイとベトナム市場におけるグローバル・マーケティング戦略の実態を踏まえ、日本家電企業のグローバル・マーケティングの特徴と今後の課題を解明した。 タイは「親日国」で日本との経済的結びつきも強く、東南アジアの中でも早くから日本の家電企業は進出し、この市場を席巻してきた。しかし、21世紀に入り韓国企業系のサムスン電子やLG電子、さらには中国系のハイアールやTCLなどが、日本企業を猛追し、現在ではテレビや携帯電話をはじめ、洗濯機、冷蔵庫など日本企業の圧倒的に強い白物製品においてすら日本企業を凌駕しはじめている。 ベトナムは社会主義革命後、90年代に政府の外国企業の誘致により、松下電器を先頭に日系企業は他国に先んじて参入した。しかし、現在ではここでもサムスン電子やLGが日系企業を脅かしている。 韓国製家電製品がタイやベトナムで支持される理由には、価格が安いだけでなく、「デザインの斬新」、政府のバックアップによる大量の広告宣伝攻勢などマーケティング戦略の優位性にある。それに対して、日系企業は技術や品質の高さにもかかわらず、マーケティング戦略面で見劣りしている。 今後日本企業がこれらの市場で挽回を図るには、機器の性能と並行して現地の顧客のニーズに合った商品開発と現地の消費者のデザインや広告を重視したマーケティング力を重視する必要がある。 理論研究の課題としては、現地適合化を重視した新興国市場のマーケティング戦略論のモデルを創造する必要があることが急務である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である先進国と比較した新興国市場のグローバル・マーケティングの特徴については、タイとベトナムでの実態調査を踏まえて見たとき、その基本的特徴は変わらないが、両者の間にはかなり大きな違いがあることも明らかになった。 その第1は、先進国の顧客ニーズには差異性よりも同一性の側面が強いのに対して、中国を含むタイやベトナムでは、経済発展の違いや生活様式、宗教などの文化の違いを反映し大きな違いがあることが判明した。国際マーケティング論の出発点から論争になっている標準化と適合化でいえば、先進国型の国際マーケティングでは前者が強く、新興国市場の国際マーケティングでは後者の性格が強い、ということが判明した。 第2に、第1のことより、今後日本企業が新興国市場で採用すべき国際マーケティング戦略は、新興国市場の顧客ニーズを深く踏まえた現地適合型のマーケティングを展開すべきである。 以上、中間的な結論であるが、今後の研究を深める中で、検証し確証してゆきたい。 今回は日本の現地進出企業や現地駐在のジェトロ、商工会議所の方々、さらには広告会社博報堂などの協力があったので大きな成果を得ることができ、研究の成果の進展をもたらした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、新興国の中でも中国と並んで巨大な市場を形成しているインド市場を対象としたグローバル・マーケティングの実態を踏まえ、その特徴を明らかにする。 インドの調査には研究分担者である若林靖永教授も同行する予定である。 インドでは,Panasonic Appliances India.Co.,Ltd., Panasonic AVC Networks India Co.,Ltd.をはじめSony India Pvt.Ltd., Toshiba India Pvt. Ltd., Hitachi India Pvt. Ltd.を訪問し、インタビューを行う。同時に、インドの家電小売企業、インド現地のジェトロ、日本商工会議所、広告会社博報堂などを訪問し、インタビューと資料収集を行う。 これら現地調査をベースにインドに関する経済や経営の書物を参考に、インドに関する日本企業のグローバル・マーケティングの特徴を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①研究分担者若林靖永教授とインドを訪問し、資料収集とインタビューを行う。旅費と調査費、70万円 ②インドにかする図書費、資料費、10万円 ③インタビューのテープ起し、20万円。
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Research Products
(1 results)