2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530550
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
山田 昌孝 名古屋商科大学, 商学部, 教授 (20174740)
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Keywords | 消費者革新性 / イノベーター / インフルエンサー |
Research Abstract |
今年度は、6月の学会(Marketing Science Conference, Boston)で、これまでの知見を吟味して、パーソナリティの一つとして捉えている消費者革新性の測定スケールと行動として表れる採用行動の測定スケールの構造的関係を分析し、普及論の再構築を提案している。以下2点が寄与点である: 1. 論理的構文論とパーソナリティ心理学の知見を基に、より具体的な項目をもつスケールの方が抽象的な項目のスケールより革新行動予測に優れることを先行研究を用いて理論的に解明し、理論的構成概念と傾性概念の中間に「理論―傾性中間概念」という新しい中間的構成概念を設け、その測定スケールを用いることの優位性を理論化した。 2. 質問紙調査により3つの新製品でその優位性を実証した。さらに、生存関数を用いて、イノベーションの採用と普及研究の構造を再構築し、その妥当性を実証した。 結果、この分野の多くの個別研究の位置・役割を明確にすることに成功した。 その後、「理論―傾性中間概念」の測定スケールとして採用したGoldsmith-Hofackerスケールについて本研究の目的である測定項目を増やして尺度の一次元性を高めることを検討した。その過程でRossiter(2002)のC-OAR-SE方法という項目の意味と回答者の能力を考慮して、いたずらに同じような項目を増やしてクローンバクのα値を上げることを戒める方法に遭遇し、Goldsmith-Hofackerスケール(1991)がデファクト・スタンダード化している現状に鑑み、これを本研究の「理論―傾性中間概念」のスケールとして採用することに決定した。しかし、2012年秋頃よりソーシャルメディアの進展は目覚しく、このスケールの採用に疑問を感じ、2013年3月半ばに急遽情報収集のためNYUのソーシャルメディアの講座を受講し、次年度の研究計画を練りたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度末までに、測定スケールを完成する予定であったが、研究の結果、前述のように既存のGoldsmith-Hofackerスケール(1991)が最も妥当であるという結論に至った。しかしながら、1995年のインターネットの商用可以降順調な進展を遂げてきたネットビジネスは、スマートフォン、タブレットなどの出現により、筆者の想定を超えて2012年後半より人々の買い物環境の激変をもたらしているように見受けられる。このような変化のなか、果たして1991年に開発された測定スケールで対応できるのかという問題意識を持つようになり、短時間に信頼の置ける情報収集方法としてNYUのソーシャルメディアの講座を受講した。これについては、日本マーケティング・サイエンス学会の「マーケティングのデータ分析とモデリング・アプローチ研究部会」にて報告している。この知見に基づいて次項で今後の研究の推進方策を述べる。 参考文献:Rossiter, John R. (2002), The C-OAR-SE procedure for scale development in marketing, International journal of Research in Marketing, 19 305-335.
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Strategy for Future Research Activity |
既述のように、消費者と企業を取り巻くビジネス環境はネット環境によって大きな変化を遂げつつある。特に企業にとっては、消費者の革新性(=イノベーター)に関する理解が新製品の販売普及には欠かせないものであった。しかしながら、ネット環境においては、特にフェイスブックに代表されるようなSNS環境の出現で、イノベーターよりもインフルエンサーの重要性が指摘されており、企業サイドからは、インフルエンサーを自社のブランドを人々に推奨し、場合によっては守ってくれるディフェンダーとまで考えていることがわかった。したがって、現時点では、今後の研究計画を以下のように考えている。 1.4月~7月:文献調査によって、ネット環境におけるインフルエンサーの定義、測定法方法などの研究。同時にデーターマイニングについてのハンズオン知見を深め文献内容の理解を深める 2.8月~10月:質問紙調査によって、イノベーターとインフルエンサーの同一性、類似性の調査研究 3.11月~12月:整理 4.1月~3月:まとめ 以上 参考文献: Aral, Sinan and Dylan Walker (2012), Identifying Influential and Susceptible Members of SocialNetworks, Science 337,337. DOI:10.1126/science.1215842. Deighton, John and Leora Kornfeld (2011), United Breaks Guitars, 9-510-057, REV: Augast 11, HBS. Gupta, Sunil, Kristen Armstrong and Zachary Clayton (2011), Social Media, 9-510-095, REV: October 4,HBS.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画はおよそ以下のように予定している:物 品 費:データーマイニングアドイン環境構築費17万円、旅 費:日本マーケティング・サイエンス学会全国大会 6月、12月 計8万円、部会3回計6万円、国際学会1回30万円、その他 アンケート作成実施料50万円、合計111万円。
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