2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530559
|
Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
東 利一 流通科学大学, 商学部, 准教授 (70268572)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | マーケティング |
Research Abstract |
本研究の目的は,百貨店の化粧品ブランドを対象に「新規顧客との関係がどのようなプロセスを経てサービス・リレーションシップに発展していくか」ということを解明することである。 23年度は,サービス・リレーションシップ創出のプロセスに関する顧客側の要素を抽出することであった。計画では,新年度初頭から7月にかけ女子大生から接客レポートを回収し定性分析する予定であった。しかし,震災による国会審議の遅れから研究費交付が遅れために協力学生を募れなくなってしまった。そこで,替案として22年度に行った百貨店の化粧品ブランドの接客レポートを社会心理学の情報処理モデルに関する視点から再考察した。 その結果,明らかになったことは以下の点である。まず,スイッチング・バリアに関して。1,固定客と違い新規顧客にはスイッチング・バリアが存在しない。このことを意識した接客が不可欠になる。次に,情報処理モデルと送り手要因に関して。2,新規顧客は当初,周辺ルートに依存した情報処理を行う。3,新規顧客には,BCの高い信憑性を提供することが重要である。情報処理モデルとメッセージ要因に関して。4,新規顧客は,試しを経験することで中心ルートに依存して情報処理を行うようになる。5,試しをおこなっている新規顧客には,論拠の強い説明が有効である。送り手要因について。6,BCへの親近感は,魅力の構成要素である。7,BCの身だしなみは,魅力の構成要素である。8,店舗イメージは,魅力の構成要素である。9,見送りは,魅力の構成要素である。メッセージ要因について。10,関与の高い新規顧客には,十分なサンプルとパンフレットが有効である。受け手要因について。11,接客当初の新規顧客は,関与が低いが,試しをすることで関与は高まる。 以上の点から,信頼ベネフィットの芽としてBCの信頼が,社会的ベネフィットの芽としてBCの魅力が明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代替案ではあったが,既存顧客との間に存在するリレーショナル・ベネフィットのうち,信頼ベネフィットと社会的ベネフィットの萌芽的要素を明らかにすることができたから。
|
Strategy for Future Research Activity |
主に次の2点に関して24年度は研究を進めていく予定である。1,予算交付の遅れのため23年度実施できなかった,サービス・リレーションシップ創出のプロセスに関する顧客側の要素に関して,再度接客レポートを回収・分析する。これは,22年度のサンプルに偏りがなかったということを明らかにする目的もある。2,サービス・リレーションシップ創出のプロセスに関するBC側の要素を明らかにする。接客する側のBCにも取材することで,23年度に明らかになったことを包括的に説明できる要素の抽出を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は主に次の点で研究費を使用する。(1)接客レポートや取材記事の定性分析のための,ソフト購入。(2)企業側からのサービス・リレーションシップ研究に関する,文献の購入費。(3)研究会等での発表のための,交通費。H23年度に未使用だった24万507円は主に以下のように使用する。(1)データ蓄積用ハードディスク14万円,(2)定性分析ソフト8万5千円,(3)文献購入1万5千507円
|