2014 Fiscal Year Annual Research Report
連単分離下での原則主義のIFRSへのコンバージェンスの数理モデル分析
Project/Area Number |
23530574
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加井 久雄 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (10303108)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 原則主義 / 規則主義 / 連結先行 / 連単分離 / コンバージェンス / IFRS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が計画した具体的な研究項目は,①原則主義と規則主義の定式化,②財務報告の二つの機能(投資家の意思決定支援機能と経営者の会計責任解明支援機能)の定式化,③連単一致の場合のモデルの開発と分析,④連単分離の定式化,⑤連単分離の場合のモデルの開発と分析,の五つである。平成25年度までにこれらの具体的な研究項目について,一定の目途をつけていたので,最終年度(平成26年度)には,連単一致かつ規則主義による財務報告制度の場合と連単分離で単体は規則主義により連結は原則主義による財務報告制度の場合の比較研究を行なった。その結果,連単分離しても国際会計基準(IFRS)の影響は利害調整に影響を与えること,連単分離しても国内の会計基準が証券価格に影響を与えることなどを明らかにした。日本では連単分離の方が財務報告の二つの機能の独立性を保てることから連単一致(や連結先行)よりも望ましいとされるが,そのような認識は必ずしも正しくないことが明らかになった。これらの研究成果を論文にまとめ,平成27年5月のヨーロッパ会計学会年次大会にて報告する。さらには,学会発表などを通じて論文を洗練させ,学術誌に投稿する予定である。また,研究成果の頑健性や拡張性を考察するため,イギリスの真実かつ公正な概観概念と離脱規定についても調査研究した。原則主義的な財務報告は,規則主義のそれよりも,経営者に財務報告上の裁量をヨリ多く与えると同時に投資家などへの説明責任をヨリ重くすると考えられている。公正かつ真実な概観概念と離脱規定がイギリスにおいて実態としてどのように機能しているのかどうを調査すると共に,経営者の財務報告行動をモデル化する試みをした。離脱した場合に経営者に正直な説明を促すメカニズムをどのようにモデル化するかが課題として明らかになり,これは今後の研究課題である。
|
Research Products
(2 results)