2011 Fiscal Year Research-status Report
金融危機の会計分析―リーマン・ショック後の規則と規制の改革をめぐって―
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23530577
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
星野 一郎 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (10202300)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 金融危機 / 会計規制 / 金融規制 / 経済的影響 / 産業政策 / 経済政策 / 政治的圧力 |
Research Abstract |
平成23年度については,当初計画のとおり,おもに原典資料等の収集と分析を中心に研究を展開してきた。邦文で書かれた調査研究と米国の裁判所等でおこなわれた調査研究の解析とその入力が,その具体的内容である。こうした地道な作業は即時にその成果がでるものではないが,文字どおり,本研究課題の「基盤」を構成するものである。当該年度だけでは,原典資料等を網羅的に調査研究することは不可能または非常に困難なので,平成24年度においても引き続き,そうした調査研究を継続する方針である。よって本年度においても,昨年度と同様に,具体的な成果は一部しか公表できない可能性が高い。そのような状況下において,平成23年度における研究実績としては,本課題研究と関係深いものとしては,つぎのものをあげることができる。星野一郎『財務会計ルールの論理と政策――経済社会との交錯――』(中央経済社,2011年)(総頁数:340)星野一郎「不正経理の不変性と普遍性――粉飾決算の恒久性をめぐって――」『産業経理』第71巻第3号,22-40頁(2011年10月)前者の研究実績については,同書の第III部「財務会計ルールにおける金融と規制」は,本課題研究の分析的・概念的なフレームワークとして開発,提案したものである。換言すれば,リーマン・ショック後の個別具体的な事案(規則改革や規制改革)をこのフレームワークにあてはめることを念頭に置いたものである。また後者は,本研究課題に直接的には関係しないようにみえるかもしれないが,リーマン・ショック後の規制的あるいは会計的な事案においては,広義の不正経理を構成するものも存在することから,前者そそれと同様に,一種の分析的フレームワークとして機能するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
さきの【研究実績の概要】において記したように,平成23年度は,本研究課題着手初年度であり,基礎的な資料収集とその解析が中心となったこともあり,表面的な研究実績はそれほど多くはないが,これは当初から想定していたことであり,その意味も含めて,当該年度における「達成度」としては「おおむね順調に進展している」と自己評価する次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初提出した本研究課題の研究計画に準拠して,平成24年度には,さらなる原典資料と関係研究を調査研究し,それをもとにした研究そして論文等の執筆に入る予定である。つぎの「次年度の研究費の使用計画」でも記したように,平成24年度においては,一種のフィールドワークを展開することになる。したがってその論文等の研究実績の多くは,平成25年度と平成26年度に公表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の関係する資料や文献の一部は,しでに平成23年度以前に入手していたこともあり,平成23年度の研究費はその一部を繰り越したが,平成24年度については,専門家あるいは関係者から情報収集または意見聴取そして資料整理等をおこなう関係上,謝金等の支出が増加することが想定される。またリーマン・ショックに端を発した金融規制と会計規制を調査研究する関係から,米国への出張を予定しているが,現今の事情からすると,国内にいても,豊富な資料収集が可能なことから,米国出張については,それをおなうかどうかについて現時点では考慮中である。いずれにしても,限られた予算を効率的に執行して,評価される研究実績を効果的に産出することを目指すところである。
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Research Products
(3 results)