2012 Fiscal Year Research-status Report
金融危機の会計分析―リーマン・ショック後の規則と規制の改革をめぐって―
Project/Area Number |
23530577
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
星野 一郎 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (10202300)
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Keywords | 金融危機 / リーマン・ショック / 不良債権 / 時価評価 / 貸倒引当金 / 不正経理 / モラルハザード / インンセンティブ |
Research Abstract |
米国におけるリーマン・ショックにかかる原資料の収集と分析を中心に調査・研究を進めるともに,不良債権にかかる重要な会計的テーマである貸倒引当金についての制度的・理論的なフレームワークの検討をおこなってきた。 前者の調査・研究については,その資料や論文等が膨大なこともあり,その読破と論点整理に予想以上の時間を要している状況にある。しかしこうした作業なしには,この研究を展開することは不可能である。当該年度においては,そのために多くの時間と労力を費やしてきた。 また金融危機を会計的に検討するうえで必要不可欠なことのひとつに,不正経理があるが,この問題についても同時並行的に研究を展開してきた。 前者の調査・研究についてはまだ途上にあり,具体的な研究成果は出ていない。後者のそれについては,星野一郎「貸倒引当金の設定主体と設定客体そして設定対象の会計的特性」『マネジメント研究』(広島大学マネジメント学会)第13号(2013年12月)(73-96頁)として研究成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
さきの【研究実績の概要】にも記したように,米国におけるリーマン・ショックにかかる原資料の分析に予想以上に時間を要しており,研究成果の公表という点では,正直,いくぶん遅延気味である。しかしこの点については,下記に記す事情とともに,当初からある程度予想されたことであり,次年度以降にその成果を公表できることと予想・予定している。 また金融危機に関係する会計的または経済的な事象やテーマが多岐にわたり,それらをも調査・研究するために,予想以上に時間を要している側面もある。具体的には,さきの【キーワード】にも示したように,不良債権,時価評価,貸倒引当金,モラルハザードそしてインンセンティブなどがそれに該当する。これら個別テーマをリーマン・ショックに端を発した金融危機のなかにどのように位置づけるかは,研究展開上非常に重要であるが,その関連性を概念的あるいは分析的に整理することに,いくぶん手間取っているのも事実である。 しかし,そのような状況においても,また具体的な研究成果としてはまだ公表できていないが,概念的あるいは分析的なフレームワークについての論点整理と関連性整理については,一定程度以上進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
さきにも記したように,本研究において重要なことは,まずは米国におけるリーマン・ショックにかかる原資料の分析があり,それを受けて,その原因あるいは背景等を究明し,それにかんする分析的フレームワークを構築することにある。それとともに,さきの【キーワード】そして【現在までの達成度】にも記入したように,関係する諸概念あるいは諸技法とそれらの関連性についての研究をより展開する予定である。当該年度は,そのための準備期間としての側面があり,そこにおいて分析,蓄積した成果を展開,融合し,分析的フレームワーク(の一部)を構築することを予定している。 またこれは,当該課題研究の最終年度にかかる可能性もあるが,そこで構築した分析的フレームワークを活用,適用して,リーマン・ショックという金融危機を会計的かつ総合的に整理,分析することを予定しているところである。 そのために,従前以上に,研究補助者を活用して,より効率的,効果的な研究活動を推進してゆく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
米国におけるリーマン・ショックにかかる原資料の分析をより効率的に実行することを目的として研究補助者そして高度な専門知識を有する研究者または実務家からの研究上の支援または補助を受けるために,出張費(宿泊費)と謝金がその中心になる予定である。 もちろん,これまで同様に,書籍等の購入費とともにデータ収集にかかる経費も継続的に支出することになる。
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Research Products
(1 results)