2013 Fiscal Year Annual Research Report
地域振興のための簿記の役割 -農業・地場産業を対象として-
Project/Area Number |
23530601
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
戸田 龍介 神奈川大学, 経済学部, 教授 (00271586)
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Keywords | 農業簿記 / 地域振興 / 地場産業 / 複式簿記 / 農業ファンド / 国際会計基準 / IAS41「農業」 / 農協 |
Research Abstract |
研究最終年度における主要な研究成果としては、代表執筆した論文「第28回全国大会・簿記実務研究部会(最終報告):地域振興のための簿記の役割 -農業・地場産業を対象として-」があげられる。また、研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、報告者が編著者となり、『農業発展に向けた簿記の役割―農業者のモデル別分析と提言―』(2014年2月刊行だが作業は2013年度中)を刊行した。 これらの研究成果においては、日本の農業者に対して,「モデル分け」という従来の研究には見られなかった新たな視点を導入し、5つに分類した。この5つにモデル分類された各農業者において,特に「複式簿記の役割発揮」について確認すべく,ヒアリングを中心とした各種調査を重ねた。 その結果,次のようなインプリケーションを得ることができた。事業主体の明確な農業法人あるいは建設会社のような地場産業が主体となった6次産業体(モデル4)こそ、農業を中心とする地域振興について最も期待される農業者モデルである。このモデル4事業体に、従来のような補助金ではなく、投資効果が厳しく問われる農業ファンドの資金が投入されれば、投資効果を農業ファンド側に説明するために、複式簿記に基づく財務諸表の作成・報告が必須となる。この関係においてこそ、地域振興のために複式簿記が果たし得る現代的役割が存すると考えられる。 以上のように、これまで一律に論じられることが多かった日本の農業者をモデル分けし、それぞれのモデルにおいてどのような記録がとられているのかを調査した上で、上記のようなインプリケーションを得た点に当研究の意義が見いだせる。さらに、調査してそれで終わり、ではなく、それぞれのモデルに対して、簿記会計的視点からの具体的提言を行ったのも、他の研究に見られない重要な点だと思われる。
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Research Products
(8 results)