2013 Fiscal Year Annual Research Report
効率的な経営者報酬契約の遂行と会計情報の機能に関する実証的研究
Project/Area Number |
23530608
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
乙政 正太 関西大学, 商学部, 教授 (60258077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎葉 淳 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60330164)
首藤 昭信 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (60349181)
岩崎 拓也 関西大学, 商学部, 助教 (30611363)
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Keywords | 効率的な経営者報酬契約 / 会計利益 |
Research Abstract |
会計情報が契約関係においていかに利用されているかは実証的に徐々に解明されてきているが,日本の株式会社の組織形態の大多数を占める監査役設置会社では,経営者への報酬決定には曖昧さが残るケースがある。業務執行の内容の評価に取締役会がかかわっているとすれば,自らの報酬額の決定に主観的判断が入り込む余地がある。経営者が自己の報酬に実質的な影響力を有している場合,経営者は株主にとって最適であるレベルを超過して報酬を受け取るかもしれない。これは経営者報酬契約を遂行するために考慮しておかなければならない要因である。超過報酬を抑制するために,保守主義会計のような会計実務に着目することが重要である。実証分析の結果によると,保守主義会計の需要は利益ベースの経営者報酬契約を利用する企業や深刻な事後的精算問題を有する企業について高くなることを示す。 また,報酬契約における会計情報の機能や経営者報酬決定における利益ベンチマークの役割についても調査した。一つの会計基準で意思決定支援機能と契約支援機能を効果的に両立させることは難しく,現在の会計基準設定においても両立性については重要な課題になっている。会計利益の役割はトレード・オフの関係にあることがよく仮定されるが,本研究の結果はそのような理解に再考の必要性があることを示唆する。 さらに,経営者がある種の利益ベンチマークを乗り越えるインセンティブをもつことを示す。前期利益,ゼロ利益,および経営者の予想利益という3つの利益ベンチマークに関して,それらを達成しない場合,経営者報酬が減額されるかどうかを検討した。結果的に,利益ベンチマークの未達はいずれも経営者報酬の減額につながることを実証的に明らかにする。利益ベンチマークの設定は経営者報酬契約の内容について,今後踏み込んだ調査を行うことを可能にするであろう。
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Research Products
(2 results)