2012 Fiscal Year Research-status Report
ジェンダーをめぐるコミュニケーション齟齬の研究:専門的概念の再帰性に着目して
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23530622
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
江原 由美子 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (20128565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
左古 輝人 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (90453034)
鶴田 幸恵 千葉大学, 文学部, 准教授 (00457128)
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Keywords | ジェンダー / テクストマイニング / トランスジェンダー / バックラッシュ |
Research Abstract |
「ジェンダー」という概念それ自体に照準し、専門知と日常知の関係をあきらかにするという、昨年度さだめた研究方針にもとづき、各自データの収集・分析をすすめた。 左古研究分担者は、検索語「ジェンダー」で該当する論文を網羅的に収集したコーパスを完成させ、「ジェンダ ー」概念のフレーム(関連概念との共起関係)がいつどのように変遷したのかを量的に分析した。また、本研究と関連する「ジェンダー」概念史の先行研究を翻訳・出版した(ジェニファー・ジャーモン著『ジェンダーの系譜学』法政大学出版局、2012)。 鶴田研究分担者は、医療系論文における「ジェンダー」概念と、医療現場におけるその用法の関係を、医療従事者やトランスジェンダーのひとびとへのインタビュー調査にもとづいて分析した。 林原連携研究者は、『諸君!』『正論』といった保守系論壇誌におけるバックラッシュ言説の収集を完了し、その言説の特性をフェミニズム側の言説と比較分析した。 江原研究代表者は、昨年度にひきつづき、①「ジェンダー」概念の導入や否定をめぐるかけひき(鶴田・林原両研究者が質的に分析)を、②「ジェンダー」概念の変遷という文化的背景(左古研究者が量的に分析)に位置づけるとともに、③サイエンス・ウォーズなど学問の科学性をめぐる争いという、より広い社会的文脈に位置づける考察をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部の論点については、次年度に補足調査をおこなう必要があるものの、各自が進めている研究については、すでに結論の見通しが立つ状態になった。ここは、当初の計画以上に進展している点である。 その一方で、本研究計画を全体としてみた場合、つまり、各論の知見を統合した場合、最終的にどのような結論を導くことができるかについては、まだ十分に検討できていない。ここは、やや遅れている点である。 以上より、本研究計画を全体として評価した場合、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
必要に応じて補足調査(インタビュー調査および文献調査)をおこないつつ、各自が進めている研究を完成させる。 また、本研究計画全体としての結論をまとめ、学会報告をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【当該研究費が生じた状況】 鶴田研究分担者の異動にともない、定例研究会にかかる旅費が不要になったため。また、次年度に補足調査をおこなう場合に備え、旅費および謝金の使用を抑制したため。 【使用計画】 次年度に請求する研究費と合わせて、学会報告にかかる旅費、および、補足調査の実施にかかる謝金に使用する。
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Research Products
(3 results)