2011 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける越境的なリージョナル放送空間の基盤構築のための実践研究
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23530638
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
玄 武岩 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (80376607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 浩平 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (50333638)
北見 幸一 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (90455626)
崔 銀姫 佛教大学, 社会学部, 准教授 (30364277)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 日韓中テレビ制作者フォーラム / アンケート調査 / 東アジアとメディア / 震災報道 / 炭鉱ドキュメンタリー / 非核 |
Research Abstract |
6月のマス・コミュニケーション学会(早稲田大学)でワークショップ「東アジアにおける越境的なリージョナル空間の構築-日韓中テレビ制作者フォーラムの実践から」を開催した。ここでは、EUの事例やABUの試みを参考にしつつ、日韓中テレビ制作者フォーラムの実践が、東アジアにおけるリージョナル放送空間の構想においてどのような位置にあり、今後の役割について活発な議論が行われた。これは学会において東アジアのリージョナル放送空間の構想における初の本格的な議論であった。 2011年9月22-25日に「日韓中テレビ制作者フォーラム」(札幌)を共催し、25日には国際シンポジウム「東アジアとメディアの新たな可能性-東日本大震災をめぐって」を主催した。3月に起きた大震災が中国・台湾・韓国のメディアを通じてどのように報道され、また、人々はどのようにそれを受容したか等の調査結果を公表した。それをとおして災害はもちろん、安保、経済、軍縮、環境など一国単位で解決できない諸問題を地域で取り組む仕組みに、放送やメディアという領域からはどのように関わっていくことができるのか、その課題および展望について議論した。フォーラムでは、当初の計画通り参加を対象にアンケート調査を行い、24年度のマス・コミュニケーション学会で報告する予定である。 また、24年度の研究計画につなげる作業として、共同研究者の渡邉は2011年12月3日に「炭鉱、日本と中国をつなぐもの」をテーマに、社会問題を扱うドキュメンタリーの越境可能性について考える上映会を開催した。研究代表者の玄も、2012年3月21日に国際シンポジウム「記憶としての戦争・文化としての平和」を組織し、24年度研究計画にある韓国における核の認識に関する研究論文「「反核」の思想と無思想-韓国における「原爆」体験のゆがみ」を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度の研究成果は、6月の日本マス・コミュニケーション学会でワークショップを開き、9月に国際シンポジウム「東アジアとメディアの新たな可能性-東日本大震災をめぐって」を開催するなど順調に進んでいる。 研究計画とおり、札幌で開催した「日韓中テレビ制作者フォーラム」ではアンケート調査も行い、平成24年6月の日本マス・コミュニケーション学会のワークショップでその結果を報告する予定である。さらに、12月には渡邉が「炭鉱、日本と中国をつなぐもの」を開催し、平成24年3月に開かれた国際シンポジウム「記憶としての戦争・文化としての平和」で、玄は「反核の思想と無思想-韓国における「原爆」体験のゆがみ」を発表するなど、2年目の課題へと踏み込んでいることから、研究の達成度はおおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、制作者だけでなく受け手の立場から越境的な東アジアリージョナル放送の課題について明らかにする。6月のマス・コミュニケーション学会ではワークショップを開催し、初年度の成果を踏まえて議論する。11月には、共同研究のメンバーが全員参加する国際シンポジウムを開催して、研究成果を発表する。 国際シンポジウムでは、東アジア地域の大衆文化の交流におけるコンテンツの流通の産業的な視点や歴史文化的な視点、歴史認識や家族像など価値観の表現や消費からの視点など多岐にわたる領域をカバーする包括的なアプローチをとおして、この地域における情報コンテンツ流通のさまざまな側面を東アジアの公論形成という視点から体系化する。それをとおして、東アジアにおける文化的な相互作用においてテレビ文化がどのようにかかわっているのか検討し、その越境的な可能性について議論する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、11月開催予定の国際シンポジウムに向けて、共同研究メンバーがそれぞれの分野で研究を推進する。そのために中国および韓国での現地調査が必要となり、渡航費およびアンケート調査費用など研究費はその費用にあてられる。さらに国際シンポジウムには、海外からの研究者も参加する予定で、その開催費用にも研究費は必要となる。 なお、平成23年度は、パソコンの購入など物品費を切り詰め、その分が次年度の繰り越しとなった。初年度は主に放送局など組織を中心にしたリージョナル放送空間について重点的に研究を推進したが、近年は市民のレベルでも良質のコンテンツが生産されていることから、市民メディアのネットワークについての研究も欠かせない。本研究グループは、こうした社会性のあるドキュメンタリーの越境性についても調査研究を行うことにし、研究費の繰り越し分はここにあてられる。
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Research Products
(5 results)