2011 Fiscal Year Research-status Report
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23530643
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
牧田 実 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20229339)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 地域自治 / 地域自治区 / 住民組織 / コミュニティ / 制度設計 / 都市内分権 |
Research Abstract |
本研究は、地域自治組織制度にもとづく地域自治区を対象として、「地域自治」すなわちコミュニティレベルでの住民の自治のあり方を明らかにすることを目的とし、以下の点を明らかにすべく設計された。1.地域自治区(地域協議会、まちづくり組織)は、「地域自治」の内実を備えているか。その根拠はなにか(<団体自治>の視点)。2.地域自治区は、コミュニティの内実を備えているか。地域協議会、まちづくり組織と町内会、同連合会、各種団体、NPO等との関係はどうなっているのか(<住民自治>の視点)。3.「地域自治」を担保する都市内分権の制度設計とコミュニティ施策とはいかなるものか(<自治体政策>の視点)。 平成23年度は、もっぱら上越市の地域自治区を対象とする調査を実施し、行政、地域協議会、住民組織、町内会、NPO等を対象とする聞き取り調査を行うとともに、コミュニティ政策学会内に設置された上越市地域自治区研究会に参加し、研究交流と意見交換を重ねてきた。また、東日本大震災によって壊滅的な被害を受けた東松島市、石巻市の補足的調査を実施し、地域自治とコミュニティ形成の意義を原点に立ち返って考察する一助とした。 これらの結果、現行の地域自治区制度そのものは、市町村合併の代償的措置であり、その機能がほぼ首長の諮問機関に限られていること、範域が旧町村単位と大きすぎ、コミュニティの実態と乖離していることなどから、「形式」に堕しがちであることは否定できないが、制度設計や住民および住民諸組織の関与によっては、地域自治の「実質」を担保しうる可能性も備えていることが明らかになった。上越市に即していうならば、地域活動支援事業の採択決定権の付与や旧町村単位での「住民組織」の設立がそれである。 「地域自治」をめぐる制度と実践の往還をさらに地域の実態に即して探究することがあらためて課題として浮かび上がったといえよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の調査としては、対象を上越市に絞り込み、聞き取り調査と資料・統計の分析を行うことによって、研究目的に掲げた3点の課題を追求するにあたっての今後の作業課題が明確になったという点で、ほぼ順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、現地調査を重ねることによって、研究目的の達成を図りたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度もまた現地調査と研究会および学会報告を中心に研究を進めるため、旅費を中心に研究費を使用する。また、次年度は聴き取り調査に加え、アンケート調査もあわせて実施する予定であることから、そのための経費も計上している。なお、物品費はおもに図書や資料の購入に充当する予定である。
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