2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530643
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
牧田 実 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20229339)
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Keywords | 地域自治 / 地域自治区 / 地域協議会 / 住民組織 / コミュニティ / 自治体内分権 / 制度設計 |
Research Abstract |
本研究は、地域自治組織制度にもとづく地域自治区を対象として、「地域自治」すなわちコミュニティレベルでの住民の自治のあり方を明らかにすることを目的とし、以下の点を明らかにすべく設計された。1.地域自治区(地域協議会、まちづくり組織)は、「地域自治」の内実を備えているか。その根拠はなにか(<団体自治>の視点)。2.地域自治区は、コミュニティの内実を備えているか。 地域協議会、まちづくり組織と町内会、同連合会、各種団体、NPO等との関係はどうなっているのか(<住民自治>の視点)。3.「地域自治」を担保する都市内分権の制度設計とコミュニティ施策とはいかなるものか(<自治体政策>の視点)。 平成25年度も引き続き上越市の地域自治区を対象とする調査を実施し、行政、地域協議会、住民組織、町内会、NPO等 を対象とする聞き取り調査を行うとともに、コミュニティ政策学会内に設置された上越市地域自治区研究会に参加し、研究交流と意見交換を重ねてきた。また上越市が設置した地域協議会検証会議の委員として検証作業にも加わった。 これらの結果、現行の地域自治区制度そのものは、市町村合併の代償的措置であり、その機能がほぼ首長の諮問機関に限られていること、範域が旧町村単位と大きすぎ、コミュニティの実態と乖離していることなどから、「形式」に堕しがちであることは否定できな いが、制度設計や住民および住民諸組織の関与によっては、地域自治の「実質」を担保しうる可能性も備えていることが明らかになった。 上越市に即していうならば、地域活動支援事業の採択決定権の付与や旧町村単位での「住民組織」の設立がそれである。「地域自治」をめぐる制度と実践の往還をさらに地域の実態に即して探究することの重要性を浮き彫りにすることができた。
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